時代や世代を超えて輝き続けるジャパニーズ・ナンバーの数々。そんな名曲たちをカーステで流しながら、今日も気ままなドライヴへGO GO!
──今日も仲良くドライヴ中の達也とトオル。タワレコでのお買い物を済ませ……おやおや、今日は珍しく渋谷のタワレコに行った帰りみたいですよ。
トオル「いま何時?」
達也「え~っと、8時ちょっと前」
トオル「うぉ~! ってことは、タワレコに4時間近くいたことになるな」
達也「そんなにいたんだ!」
トオル「すっかり日も暮れちゃってさあ、おなか空いてきちゃったよ。途中でなんか食って帰ろうよ」
達也「そうだな。で、今日はなに買ったの?」
トオル「えーっとねえ、Coco d'Orの新しいやつ」
達也「へぇ~、トオルにしちゃあ珍しいもん買ってんじゃん」
トオル「一応、〈ジャズ好き〉のオレとしては押さえとかなきゃいけないかなと思って」
達也「えっ、トオルってジャズ好きだったっけ? かれこれ15年以上の付き合いになるけど、そんなのぜんぜん知らなかったなあ」
トオル「まあ、達也が知らないのも無理ないよ。だって先週からだもん」
達也「先週からって、それって〈ジャズ好き〉って言うのか? あ~、どーせまた美穂ちゃんに影響されたとかなんだろ?」
トオル「そのとおり!(児玉清のモノマネ入りで)。なんかね、彼女も最近ジャズを聴くようになったらしいからさ、情報交換しながら親睦を深めていこうかなー、なんて思っちゃってるのよ」
達也「ふ~ん。で、そのほかにはなにか買ったの?」
トオル「ううん、これだけ」
達也「そうなの?」
トオル「だってさあ、ジャズってなにから買っていいかわかんないじゃん? いろいろ迷ってたら疲れちゃって……ねえねえ、このジャケットって誰の画だっけ?」
達也「それは水森亜土」
トオル「なんか見覚えあんなあ。実家のどこかで見たことあるような気がする」
達也「そりゃそうと、そろそろいつもの箱(注)からなんか選んでよ」
トオル「あいよ。どれどれ……おっと、いまのオレの気分にぴったりなやつがあるよ。〈ジャズる心〉だって」
達也「ジャズる? で、誰の曲とかが入ってんの?」
トオル「えーっとねえ、1曲目は松田聖子」
達也「あっ、いまかかってるコレね。コレってジャズ・ボッサじゃん」
トオル「あとは藤真利子でしょ、林檎ちゃんでしょ、タンポポでしょ、宇多田でしょ、aikoでしょ……」
達也「いわゆる、ジャズ専門ではない女性ヴォーカリストが歌ったジャズとか、それっぽい音を集めたってことだな」
トオル「正解!(児玉清のモノマネ入り)。っていうかジャズってさあ、オトナの音楽ってイメージあるじゃない? でも、こういう人たちが歌うジャズっていうのは、そこまでアダルトな感じではないよな」
達也「絶妙な温度感があるよね。シブすぎず、キュートすぎず、とでもいうか」
トオル「妙にオトナっぽい女子高生みたいなもんで、ドキッとするところあるよな」
達也「なんじゃそれ!?」
トオル「十分オトナに見えるんだけど、どっかなりきれてないところが見えちゃってて、でもそれがむしろチャーミングだったりするわけで……」
達也「なるほどなるほど」
トオル「オトナっぽい10代と、可愛らしい30代がオレのストライク・ゾーンなわけよ」
達也「なんだか話が違う方向に行ってる気がするけど……」
トオル「そういう意味で言うと、このなかでは……」
達也「ちょっと待った! 土岐麻子がいちばんタイプだって言いたいんだろ? オレもそうなんだけど」
トオル「う~ん、残念。ここは初代タンポポ時代の矢口真理と答えて欲しかった!(児玉清のモノマネ入り)。赤の方はしばらくのあいだご辛抱」
登場人物紹介/
達也……のほほ~んとキャンパス・ライフを送っている大学3年生。意中の愛ちゃんとは友達以上恋人未満。
トオル……達也のキャンパス仲間。ちょっと前にコンパで知り合った美穂ちゃんにイレコミ中。意外と純情。
達也パパ……編集テープ作りが趣味の、ちょっと古風な音楽ファン。高校時代は甲子園に出場したこともある。
(注)いつもの箱……達也の愛車の後部座席に置いてある〈いつもの箱〉には、達也パパが編集したカセットテープがごっそり入っているんです!