いまや日本のロックの一大祭典として完全に定着した感のある夏フェス〈ROCK IN JAPAN FES.2006〉。約100アーティストが繰り広げる熱演の数々が興奮の夏を演出することでしょう。今年は8月4日(金)~6日(日)に開催される本フェスの注目アクトの作品群を各日厳選してご紹介致します!!
8月4日(金)に出演するアーティストの作品群
平井堅
『Ken Hirai 10th Anniversary Complete Single Collection '95-'05 “歌バカ”』(2005)
95年のデビューから10年間に発表した23枚のシングルを収録した2枚組。アルバム未収録だった“HEAT UP”(久保田利伸プロデュース)など、“楽園”(2000年)以前のあどけない魅力と、それ以降の“大きな古時計”“瞳をとじて”などの成熟した魅力の双方が眩しい。試行錯誤の軌跡は、いまや日本を代表する男性シンガーのシルキーな歌声に強さを与えた。最新曲“POP STAR”も含め、その魅力は開花し続けている。(内田暁男 bounce 2005年12月号掲載)
KREVA
『新人クレバ』(2004)
これがファースト・ソロ・アルバム。みずからをDR.Kと称し、他との差を高らかに宣言する冒頭から実に気持ち良い流れで、そこからは音数少なめのトラックでメロディアスなラップを効果的に聴かせるKREVAワールドへ。CUE ZEROとのコンビネーションは言うまでもなく、Mummy-Dとのコラボ曲ではふたりのライミングにニヤリとさせられる。レゲエ色も随所に見られ、音楽人としてのKREVAが色濃く出た傑作です。(稲村 智行 bounce 2004年11月号掲載)
くるり
『NIKKI』(2005)
前作『アンテナ』より1年8か月、6枚目のアルバムがついに完成! さらなるリズムの広がりをめざす今作はクリフ・アーモンドと沼澤尚をドラムに迎え、決して懐古趣味ではないアナログな手法によるサウンドでロックの隙間/空間までも見事に体現し、いままでにない〈くるりの音〉を奏でている。シングル4曲を含む全13曲、誰も鳴らし得ない唯一無二の音が詰まった傑作であり、今後の日本のロックを占う重要作となるはず。(小室 浩 bounce 2005年12月号掲載)
RHYMESTER
『king of stage Vol.4~「ウワサの真相」リリースツアー~』(2002)
『ウワサの真相』を引っ提げたツアー・ファイナルの模様を収めたDVD。2MCの軽妙な掛け合い、DJ JINとのタフなコンビネーション、3本目のマイク……とおよそRhymesterを語る時に登場するすべての賛辞が注がれるべき充実の内容。PUSHIMらゲスト陣の登場もいいけど、3人だけでシメるエンディングがやはり美しい。あのグループがDJを失った(合掌)現在、世界最高のパーティー・ロッカーは彼らだ。まさにキング・オブ・ステージ!(狛犬 bounce 2002年12月号掲載)
マキシマム ザ ホルモン
『恋のメガラバ』(2006)
夏も間近なこの季節、すでに食欲減退気味デス……とグッタリしてる貴方にマキシマム ザ ホルモンから夏バテ対策の嬉しいお中元! 内容は新曲4曲入りシングル! あ、いま〈余計に胃もたれが!〉と思ったでしょ!? でも前半はヘタするとビーチにぴったりきちゃうくらいに爽快かつポップでビックリ! 後半は疾走感満点で暑苦しくうるさい! 結局うるさい! いっしょに叫んでアガって腹ペコ間違いなし! ほら夏バテ知らず。(たけい まき bounce 2006年7月号掲載)
FRONTIER BACKYARD
『FRONTIER BACKYARD』(2004)
SCAFULL KING活動休止以降、それぞれプロデュース業やソロ活動、サポートなどでマイペースに活動してきたTGMX、KENZI MASUBUCHI、福田“TDC”忠章がここにきてついに重い腰を上げた! 万人ウケするモノより、シーンを開拓していくような楽曲をめざした今作は、フュージョン、アシッド・ジャズ、ハウスなどをキーワードにデジタルな解釈をしつつも、あくまでバンド・サウンドとしての完成度にこだわった傑作! (斉藤 浩一 bounce 2004年9月号掲載)
Caravan
『Wander Around』(2006)
気心知れた仲間たちと、1台のバスにサーフボードと機材を積み込んで全国を廻るロング・ツアー〈Surf Rock Trip〉を昨年の夏に敢行したCaravan。そこでの経験を経て作り上げられたのがこのニュー・アルバムだ。旅の最中に生まれた楽曲を共に奏でるのは、上述したツアーにも参加したMagnoliaのドラマー・椎野恭一とKeison、そしてLeyona、TAICHI MASTER、おおはた雄一など、彼が日頃からシンパシーを感じているミュージシャンたち。彼らの参加によってハンドメイドの温もりを感じさせるCaravanの楽曲に、より味わい深い風合いがもたらされることとなった。巷で流行りの〈サーフ・カルチャー〉や〈スロウ・ライフ〉といった枕詞付きでついつい語られがちな彼の音楽だけれど、そうしたブームが沈静化したとしても、今作に収められた楽曲は決してその魅力を失うことはないはず。(望月 哲 bounce 2006年5月号掲載)
bonobos
『あ、うん』(2006)
ふてぶてしいまでに逞しい。セルフ・プロデュースのミニ・アルバム『GOLDEN DAYS』を挟んだものの、前作『electlyric』に引き続き朝本浩文とのコンビネーションによる3枚目のフル・アルバムは、バンドの阿吽の呼吸をさらに強固にしている。スカパラホーンズやストリングスの導入が、ライヴ・バンドとしての風格さえ漂う安定感を引き出し、楽器の鳴りと生々しさを強調する。そのざっくりとした感触には動物的と言っていい、ワイルドな魅力がある。日常の何気ない幸せを、丁寧に埃を払うように捉えてきたデリケートなニュアンスはそのままに、蔡忠浩の歌もより骨太な質感を伝えている。そしてその蔡のペンのみならず、ギタリストの佐々木康之による打ち込みを多用したイノヴェイティヴな3曲、ドラマーの辻凡人作曲によるドラマティックな“よあけまえ”など個々の楽曲も充実。彼らの息遣いがダイレクトに伝わってくる全8曲だ。(駒井 憲嗣 bounce 2006年6月号掲載)
COMEBACK MY DAUGHTERS
『A Parade of Horses』(2006)
米国インディー・ロック的な煌めきを初期衝動と共にパッケージした前作『Spitting Kisses』は、ライヴハウスに直行!のようなアルバムだったけれど、2枚目となる本作は、いろんな人の日常に溶け込みながら長い時間をかけて聴き続けられるような趣。どちらかというと土臭いフレーズの数々が丁寧に重ねられ、往年のロックの名盤さながらの佇まい。〈良い意味で期待を裏切る〉なんてよく言うけれど、期待なんてこっちの勝手な思い込みだし、こんなにも〈良い曲〉を届けてくれた彼らの成長とか熟成ぶりを目の当たりにすると、周囲の期待や予想なんて最初から追いつくわけなかったんだな、と思ってしまう。もちろん、胸を締めつけられるようなメロディーは今回もしっかり真ん中にあるし、彼らならではのポップセンスも健在だけど、大切なものだけ持って踏み出した、彼らのこの一歩はあまりにも大きい。(山田 邦子 bounce 2006年3月号掲載)
RADWIMPS
『へっくしゅん/愛し -かなし-』(2005)
アルバム『RADWIMPS2 ~発展途上~』から間髪入れずにニュー・シングルが登場。流麗に滑り出す英語詞にウットリするも束の間、巧みに言葉を掛け合わせたお得意のラップを挿み込んで予測不可能な展開を見せる“へっくしゅん”。このタイトルから受けるトボけた印象とは真逆の、激クールなバンド・サウンドも聴きどころだ。どこか攻撃性も秘めたこの一撃、それと対を成すようなカップリング“愛し”に涙腺が……!!(八木 マキ bounce 2005年6月号掲載)