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第1回 ─ PROGRESSIVE ROCK

連載
Di(s)ctionary
公開
2006/03/16   22:00
更新
2006/03/30   18:10
ソース
『bounce』 273号(2006/2/25)
テキスト
文/冨田 明宏

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Ⅰプログレの成り立ちと特徴


 ここ最近、〈プログレッシヴな……〉〈プログレ的要素を持つ……〉というような謳い文句をあらゆる場面で目にする。しかし、皆さんは〈プログレ=プログレッシヴ・ロック〉がどのような音を指すのかご存知だろうか? それは60年代中頃に巻き起こったサイケデリック・ムーヴメントによるアート志向の高まりから発生したロックのこと。アルバムに初めてコンセプトを持たせたビートルズの67年作『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』を起源とする考え方もあるが、世界で初めて〈プログレッシヴ・ロック〉という言葉が使われたのはピンク・フロイドの70年作『Atom Heart Mother』の日本盤ジャケットの帯である。そう、実は日本生まれの名称なのだ!

 キング・クリムゾンやイエスの登場に感化されるように、70年前後にはジャズやクラシックをロックに採り込んだバンドがイギリスに多数出現。そして、ジェネシスのヨーロッパ・ツアーなどの影響によりイタリアにも瞬く間に伝播した。作品にコンセプトを持たせることで、いわゆるプログレの特徴である謎めいたアートワークや曲の長大化、ドラマティックで複雑な曲展開が誕生したのである。しかしシーンの拡大に伴い、本来の意味でのプログレッシヴ(進歩的)なロックではない、ジャンルとしての〈プログレ〉が氾濫するようになる。そんななか、イギリス南東部のカンタベリー地方ではソフト・マシーンなどの人脈から派生したカンタベリー・シーンが誕生。マイルス・デイヴィスのエレクトリック化の影響や、独特のユーモアによってジャズとロックの融合を図り、独自のシーンを形成する。また、ドイツではカンやファウストがクラウト・ロックと呼ばれる前衛性に特化したサウンドを構築。後に誕生するテクノやさまざまなエレクトリック・ミュージックの原型を生み出していったのである。

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