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第1回 ─ FUJI ROCK FESTIVAL05@新潟県苗場スキー場

第1回 ─ FUJI ROCK FESTIVAL05@新潟県苗場スキー場(2)

連載
オレらの 夏 フ ェ ス 予習・復習帳 05
公開
2005/08/11   15:00
更新
2005/08/25   19:29
テキスト
文/ヤング係長、湘南乃パンダ、原田 亮

7月30日(土)Gang Of Four、Beck、Dinosaur Jr.、Mercury Rev、Fatboy Slim、TEI TOWA

■ギャング・オブ・フォー
  キレたオッサンが電子レンジをバットで殴ってビートを作る。前衛アートなのかギャグなのかわからないけど、とにかくかっこいいとしか言いようがなかったのがこのライヴ。79年のアルバム『Entertainment!』からの楽曲を中心とした演奏は、ファンキーなベースラインと性急なギター・フレーズが交差し、ヴォーカルのジョン・キングが水揚げされたエビのようなくねくねダンスをしながら観客を煽りまくる。それに釣られて観客(オッサン多め)も、暴動的な盛り上がりを見せておりました。昨年来日したワイアーも、先日来日したジェームス・チャンスもそうなんですが、パンク世代からの逆襲を観るたびに、火山に溜まったマグマが水蒸気爆発するイメージを思い起こしてしまいます……。(*ヤング係長)

■ベック


© Masanori Naruse

  豪雨降りしきる2日目。水を吸い込み、重くなった雨具(何故かちっとも水を弾いてくれず)を抱えて〈グリーン・ステージ〉のベックを観覧。かつてのりんごほっぺ少年も、いまや一児のパパ。ちょっと老けた? なんて突っ込みを入れつつも、クラシック連発のステージに、のっけから上がりっぱなし。とは言え、カラフルな意匠をこらしたアッパー・チューンの数々が、タイトなバンド編成で再現するには分が悪かったのも事実。むしろ心に響いたのはシンプルなバラード・ナンバー。肥沃なルーツ・ミュージックの栄養を多分に吸収し、米国音楽史のミドル・オブ・ロードを行く彼の姿が見て取れるライヴでした。そして、若干のエンタメ不足を見事にリカヴァーしていたのが、短パン&ハチマキという古典的スポーツ・スタイルに身を包んだ、謎のダンス男。ブレイク・ダンスを随所でバシバシとキめつつ、次長課長・河本ばりのタンバリンさばきでオーディエンスを見事に盛り上げてました。(*湘南乃パンダ)

■ダイナソーJr.
  クライマックスへと差し掛かるところでベックを切り上げ、いよいよ今年のフジロックにおける最大の話題、ダイナソーJr.へ向かうべく、泥沼と化した経路をノロノロと移動。。オリジナル・メンバーで復活を遂げる彼らを見届けるべく、〈ホワイト・ステージ〉には筋金入りのロック好きが続々と集結。そして、何気ない装いで現れた爆音三銃士は、3ピースとは思えぬ音量をマーシャル塔から発しながら、淡々とセットをこなしていく。もちろん、この面子である以上、奏でられるのは“Feel The Pain”ではなく“Freak Scene”であり、“The Wagon”ではなく“Just Like Heaven”。それにしても、今回、彼らの初期ナンバーを浴びるように聴いて感じたのは、彼らのサウンドに含まれるハードロック成分の多さだ。重厚なリズム隊の上を、金属質なギター・ソロがドライブしていくさまは、もろにHR/HM。彼らについて回る轟音という形容って、要するにメタルってことなんだな~、なんて具合に、ノスタルジーよりも新発見のライヴでした。願わくば、この面子で新作をドロップ……てのは無理?(*湘南乃パンダ)

■マーキュリー・レヴ


© Masanori Naruse

  01年にSUMMER SONICで来日した時に観た彼らのライヴは、バカバカしいほどに壮大で演劇的だったけれど、それがあまりにも音楽とマッチしていて、興奮するどころか口を開けたままポカーンとしている間に終わってしまった。あの演奏がとんでもなかったことに気付いたのはしばらくしてからのことだった。というわけで、その思いを胸に観た今回のライヴは、前回とは随分違うイメージを持った。バックに映像とライティングを用意し、楽曲とシンクさせる構成で、98年の『Deserter's Songs』以降の楽曲を中心としたセッティング。フロントマンのジョナサン・ドナヒューがそれぞれのメンバーに両手を掲げ、呪術を施すような芝居がかったパフォーマンスを見せると、各メンバーはそれに応えるように各楽器を唸らせる。とんでもなく壮大ではあるものの、自分はサマソニで感じた〈到達感〉をこのライヴに感じることはできなかった。今回のライヴが悪いとは思わない。だけど、新作『The Secret Migration』が彼らの最高傑作『Deserter's Songs』から離れた地点にあるにも関わらず、同アルバム収録の“Opus 40”、“Goddess On a Hiway”、“The Funny Bird”が最も盛り上がった瞬間であったこともまた間違いない。バンド自身も、『Deserter's Songs』がいかに特別なアルバムなのかということに気付いているはずだし、だからこそそれを超えることにもがいているのではないかと感じてしまった。単純に、自分が彼らに求めているものが高すぎるだけなのかもしれないけれど。(*ヤング係長)

■ファットボーイ・スリム


© Masanori Naruse

  二日目〈GREEN STAGE〉のヘッドライナー、ファットボーイ・スリム。事前には、彼お抱えの映像チーム〈Palookavison〉製の特殊メガネが配られ、スタート前になると既にステージ中にメガネ姿の大人たちが雨の中で待機していた。期待が高まる中、大型ヴィジョンにVJ映像が流れ始めると、ところどころでストロボが点滅、メガネをかけて眺めると全てのライトが〈SMILE〉マークに見えるトリックに会場中が大喝采に。雨がどんどん強まる中、ノーマン・クックがメガホン片手に登場。観客にあわせてロック・ナンバーを奮発してくれるかとは予想していましたが、この日はその期待を上回る大奮発ぶりでした。映画「キルビル」のサントラ曲、ペーパークリップ・ピープルに始まり、クリーム、ホワイト・ストライプス、マイケル・ジャクソン、ビースティ・ボーイズ、アンダーワールド、ファットボーイ・スリム、ダフトパンクとパーティ・ネタを乱発。途中ジャニス・ジョップリンのアカペラ曲“Mercedes Benz”の合唱大会をはさむなど、どしゃ降りの雨に包まれた会場がウッドストック化した瞬間だったかも!?(*原田 亮)

■TEI TOWA
  深夜の〈RED MARQUE〉にてノーマン・クック並の盛り上がりをみせたのが、テイ・トウワかも。アッパーなハウス・ナンバーが中心となったこの日のDJ、段々と会場が盛り上がると、インディープ“Last Night Dj Saved My Life”、エイメリー“1 Thing”などをハウス・ヴァージョンで投入して会場のテンションをコントロールしていました。後半戦ではラテン・ハウス、レゲエ、ドラムンベース(R&B曲のリミックスだった)と流れた後に、自身が中西俊夫をヴォーカルに迎えカヴァーしたナックの“My Charona”を投入すると、フジ出演アーティストの曲だけに会場は大盛り上がり。その他にもアンダーワールド“Two Months Off“を強力なエフェクトでプレイしたりと、お祭り気分の聴衆に見事なミックスで応えてくれました。ディー・ライトの大名曲をスピンするサーヴィスも。(*原田 亮)

▼文中に登場したアーティストの作品を紹介