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第62回 ─ 来日記念特別企画! カエターノ・ヴェローゾのラディカル人生ゲーム!!

第62回 ─ 来日記念特別企画! カエターノ・ヴェローゾのラディカル人生ゲーム!!(3)

連載
360°
公開
2005/05/19   16:00
ソース
『bounce』 264号(2005/4/25)
テキスト
文/bounce編集部

NY出張その1 ~弾き語り編
公演先でのNYでフラリと録音した(ほぼ)弾き語りアルバム。マイケル・ジャクソンの“Billie Jean”やビートルズ“Elenor Rigby”のメドレーなどをボッサ・アレンジで気ままに歌い綴ったスッピンぶりがリアル。ちなみに、この時のコーディネーター兼通訳として彼を空港まで迎えに行ったのはアート・リンゼイ。

NY出張その2 ~バンド編
↑の出会いをキッカケにすっかりアミーゴになったアート絡みで、アンビシャス・ラヴァーズのプロデュースによる今作をリリース。当時、頭角を現してきた打楽器奏者カルリーニョス・ブラウンの参加も特筆。ディスコ・ラップにリンガラ風レゲエに……と多くのロック・ファンがこのパラドキシカルな迷路の中で立ち尽くすことに。

南米周遊の旅。粋な男はラテンがお好き
邦題は〈粋な男〉。レパートリーはラテンの名曲で固められているが、それが単なる懐メロ趣味の道楽でないことは、チェロ奏者、ジャキス・モレレンバウムの豊潤&鋭利なアレンジが物語っている。以降、オリジナル・アルバム→ライヴ盤というお馴染みのリリース・サイクルが定着し、幾多の謎解きに付き合うハメに。

読書週間。ためになる本をたくさん読む
アフロ・バイーアのパーカッションがドカドカ鳴りまくり、その上をギターとストリングスがどこまでも優雅にメロディーの輪郭を描いていく。ドラムンベース(しかも人力!)もサンバも室内楽もすべて同一線上、というか丸呑みしてしまう尽きない食欲から生まれたカエターノ新時代のマスターピース。

イタリアでフェリー二に捧げたライヴ、プライスレス
97年10月にイタリアのサンマリノで行った、憧れのフェデリコ・フェリーニとジュリエッタ・マシーナに捧げたトリビュート・コンサートの模様を収録したライヴ盤。大好きなミュージカル・ナンバーなどを極上のスマイルで歌う姿が目に浮かぶ。ジャケットに使われているのはカエターノが86年に初めて監督した映画「O Cinema Farado」からのワンカット。

息子の友達が大勢遊びに来る
映画「オルフェ」のサントラを手掛けたカエターノは、ラッパーを交えたカーニヴァル・ソングを作り周囲をアッと言わせたが、本作もその延長線上にあるかのようなクロい仕上がり。ジョルジ・ベン“Zumbi”のカヴァーや、ブレイクビーツ感覚たっぷりのドラムの音などに立ちこめるのはストリートの猥雑な匂い。息子モレーノ、カシン、ドメニコほか新世代勢も奮闘。

To Be Continued...
還暦を迎えてもいまだ衰えない創作意欲は、この英語カヴァー・アルバムにも言えること。ポール・アンカにスティーヴィー・ワンダー、DNA(“Detached”を寸分の狂いもなく完コピ!)にニルヴァーナ“Come As You Are”まで……って、そういえばこの人生ゲーム、ゴールはどこなの?