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第62回 ─ 来日記念特別企画! カエターノ・ヴェローゾのラディカル人生ゲーム!!

第62回 ─ 来日記念特別企画! カエターノ・ヴェローゾのラディカル人生ゲーム!!(2)

連載
360°
公開
2005/05/19   16:00
ソース
『bounce』 264号(2005/4/25)
テキスト
文/bounce編集部

嗚呼、青春のボサノヴァ18切符でいざ出発!
ブラジル北東部の小さな街で生まれ育ったカエターノ青年は絵画や哲学、そして映画(フェリーニやゴダール)に心酔。大学卒業後は地元の新聞社で映画のコラムを書き将来は映画監督をめざしていたが、同郷の先輩であるジョアン・ジルベルトのボサノヴァを耳にしたこと、盟友ジルベルト・ジルに出会ったことで音楽の道へ。デビュー・アルバムとなった本作はこれまた同郷の後輩、ガル・コスタとの共演盤となった。

いきなり途中下車、サイケの森で迷子に
ボサノヴァ(ジョアン)崇拝者丸出しだった↑から半年足らずで、ロックにシフト・チェンジ! 脳天気なラテン、ルードなパンクぶりが結果として〈アヴァンギャルド〉な趣き。軍事政権の圧力に嫌気が差して反政府ソング〈禁止することを禁止する〉を絶唱。ムタンチスのサイケな演奏も手伝って、大ブーイングを浴びてしまう。

〈熱情主義〉について、朝まで討論会の日々
ジルベルト・ジル、ムタンチス、トン・ゼーといった異才奇才が大集合してトロピカリズモ運動に精を出す。ブラジル版〈サージェント・ペパーズ〉とも評されるこのアルバムは、世界中のカウンター・カルチャーにも激しくリンク。カエターノはラテンの名曲をリッチにカヴァーして温故知新。


71年作『Caetano Veloso』(Philips)

1回休み。ロンドンへ亡命
ジルベルト・ジルと共に当局から危険分子として睨まれていたため(投獄も経験)、ロンドンへ亡命。〈この街はとってもラヴリー/僕の両目は空飛ぶ円盤を探している〉という、ちょっとアブない歌詞の“London London”ほか、妹マリア・ベターニアの名前を冠した曲などもあり、もしかしてホームシック?

声の実験に明け暮れる
ブラジルに帰国。長男モレーノ君(のちにモレーノ+2として活躍)の誕生ソングがコンクリート・ポエムとボサノヴァの異種交配によるものだったり、まるで「ウルトラQ」のオープニングみたいなナンバーもあったり、かなり才気走っていたこの頃。ビキニ姿で〈青い果実〉を囓りながら何を見ていたの?

今週末はカーニヴァルで3連休!!
ビートルズにどっぷりハマって『Let It Be』のジャケをパロったり、かと思えばナイジェリアに渡ったのが引き金となり(?)、リオ郊外のゲットーで起こったファンク・ムーヴメントにも傾倒。でも、やっぱりカーニヴァル好きやねん!と毎年律儀にカーニヴァル・ソングもリリース。これはそのシングルを集めたものだ。


79年作『Cinema Transcendental』(Philips)

バイーアに里帰りしてリフレッシュ!!
長年の映画監督への夢があきらめきれず……ってわけではないだろうけど、シネマライクな楽曲がズラリと並ぶのがこちら。シンプルながら味のある音を出しているバンド、オウトラ・バンダ・ダ・テーハには現在NY在住のソングライター、ヴィニシウス・カントゥアリアもドラマーとして在籍していた。