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第41回 ─ ジミー・スミス・チルドレン

連載
Discographic  
公開
2005/03/31   10:00
更新
2005/04/01   13:56
ソース
『bounce』 263号(2005/3/25)
テキスト
文/本橋 卓

去る2月8日に急逝した偉大なるオルガン・ジャイアント=ジミー・スミス。ジャズはもちろん、ロックにソウル、ヒップホップにブルース……各方面に大きな影響と足跡を残した彼。追悼の意を込めて、ジミー・チルドレンを集めたファンキー・オルガン・パーティーを開催!!

オルガンの可能性を拡大したパイオニア、ジミー・スミス

 ハモンド・オルガンという特殊な鍵盤楽器でジャズをプレイする場合の絶対的な雛型を構築し、その後、あらゆるジャンルを縦横無尽に行き来する活躍ぶりで数多くのフォロワーを生んだジミー・スミス。ジャズ・オルガンの先駆者=ファッツ・ウォーラーと、〈オルガン/ギター/ドラム〉の黄金率的編成を発明したワイルド・ビル・デイヴィスが敷いたレールを基に、オルガンの有用性と可能性を最大限に拡張し続けたこの類い稀なる天才がハモンド・オルガンを弾き始めたのは51年のこと。NYに進出後、ジャズの名門ブルー・ノートと契約を交わし、アルバム40枚分に相当するセッションを吹き込む。63年に移籍したヴァーヴでは、オーケストラをバックに従えたド派手な快作を次々と発表。72年頃まで続くこの全盛期が、彼の愛用したハモンドの名器といわれる〈B-3〉タイプの製造期間(55~74年)とほぼリンクしているのは偶然の必然!? その後も電気サックスの元祖=エディ・ハリスとの共演ライヴ盤『All The Way Live』、スタンリー・タレンタインやケニー・バレルとの再会的セッション作『Fourmost』(90年)などの冒険的なアルバムをコンスタントに世に送り続けた。ゴスペル、ブルースといったルーツ音楽から出発して、ソウルにロック、ヒップホップやハウスにまで連なる一本の道筋を、たった一台のハモンド・オルガンを武器に切り拓いた〈ミスター・B-3〉。あらゆる鍵盤弾きたちに影響を与えた彼に敬意を表して、さあ、レッツ・リッスン!!

JIMMY SMITH 『Crazy! Baby』 Blue Note(1960)
電車ジャケが有名な『Midnight Special』に並ぶ会心作 (こっちは車!!)。フット・ペダルによるベースラインが醸し出す朴訥な風合いは、定石的編成のオルガン・トリオならでは。〈チュニジアの夜〉の激烈カヴァーはいつ聴いて新鮮!

JIMMY SMITH 『The Cat』 Verve(1964)
ラロ・シフリン作編曲によるタイトル曲はピチカート・ファイヴも御用達。オーケストラの魔術師=オリヴァー・ネルソンの手によってこの時期、コクマロなアレンジの秀作が量産されましたが、なんといってもまずはこのクロネコ盤。

JOEY DEFRANCESCO WITH JIMMY SMITH 『Legacy』 Concord(2005)
17歳でマイルス・デイヴィスに見い出された天才オルガン奏者とジミーがアツアツのバトルを繰り広げる、最新にして最後の共演盤。往時と変わらぬブルース・フレーズの大爆発に惜別の情が、また。