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第3回 ─ コーネリアス、菊地成孔ら出演者のメッセージも到着! タイ熱狂音楽祭を完全レポート

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Enter The A-POP-アジアン・ポップスへの道
公開
2004/11/10   14:00
更新
2004/11/11   18:01
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文/久保内 信行

タイと日本の先鋭アーティストを一挙に集めて開催されたボーダーレス/ジャンルレスなイベントSOI-Music。タイの先端ポップ・カルチャーを余すところなく紹介するだけではなく、国境という枠すら取っ払って純粋に〈面白いもの〉を紹介してくれたこのイベントにbounce.com編集部が潜入。イベント主宰者のインタビュー&ライヴレポ、出演アーティストのコメントを一挙にお伝えいたします。

主宰者の2人に聞いた〈SOI-Musicができるまで〉

 毎年五月上旬に、代々木公園で行われるタイフードフェスティバル。今年は二日間で、のべ20万人もの来場者を動員し、座る場所も無いほどの大盛況! また、前回こちらのコーナーでインタビューを行ったPalmyもライブの大成功を受け、11月に再来日を果たす。ここにきて、にわかに活気づいてきた日本へのタイカルチャー進出。この勢いは日本でどう受け止められ、サプライズを与えてくれるのか? その問いに答えてくれるのが今回紹介する〈SOI-Music〉だ。

 SOI-Musicは、9月にCorneliusやSpank Happyをタイに招き現地アーティストと共に公演を行い、その勢いそのままに〈SOI-Music Festival from BKK〉と題し、10月29日~31日の三日間青山CAYを中心に、両国の最先端の音楽シーン(日本の出演陣はSpank Happyに、Buffalo Daughter!)をミックスして開催された。

 ワールドミュージックは、とかく癒し系などに分類されがちなのだが、このSOI-Musicはそんなカテゴリーを吹き飛ばすパワーで日本とタイの最先端のミュージックシーンを合体させた。どうしてこんなイベントが実現できたのか? イベントの主謀者である遠藤治郎氏と木村和博氏に突撃インタビューしてきた。

――今までも、タイとの国際交流の音楽祭というものはたくさんありましたが、SOI-Musicのような、ポップ・カルチャーが前提にあるイベントは珍しいんじゃないかと思います。このようなイベントを始めたきっかけはなんだったんですか?

遠藤治郎:きっかけは、タイのロックシーンを作ったといってもいい伝説のバンドモダン・ドッグ(Modern dog)が、去年のタイフードフェスティバルに出演することになって。彼らが東京のライヴハウスでもやりたい、というので場所を押さえたんです。でも、どうせやるんだったら彼らだけじゃなくバンコク全体のシーンと日本を繋ぐようなことが出来ないかなと思ってバンコクの色々なバンドを呼んでこのイベントをスタートさせたら、これが異常に盛り上がったんですよ。

木村和博:バンコクには90年代はじめ頃からカルチャーが育ついい環境やナビゲーター的な人があらわれてきて、98年ぐらいからユースカルチャーもシーンとして盛り上がってきたんですね。で、良い物を作れるタイ人の若いクリエイターたちが育ち始めている……、っていうのが今の状況で。ここで続けていかないと終わっちゃうかもしれない、と思ったのもイベントをやる動機になってますね。

――今回の日本・タイの紹介アーティストは、いわゆる〈芸能〉ではない先端のかたがたですが、そうしようとしたのはなぜ?

遠藤:タイでもメジャーな音楽というのはあって、それは産業として大きなものなんですけど……。


03年のFat Festival

木村:そうでないマーケットもかなり広がってきているんです。インディーズ・レーベルのCDが初回で3000枚即完売してしまったり。インディー・ミュージック専門のラジオ局〈Fat Radio〉というのがあって、そのラジオ局主催である 〈Fat Festival〉は、毎年10万人以上の人を集めてしまうんです! もうCCCDがどうとか言ってる最近の日本では考えられない感じ(笑)。

遠藤:いや単純に、僕らの目から見て面白いと思うものだけをやりたいと。今回も、タイで面白いと思う人たちを根こそぎ連れて来てるようなものなんで。Spank Happyとエレクトロクラッシュでしかもメンバーの半分がゲイ(笑)のFutonとか、Buffalo Daughterとタイ・オルタナの雄モダン・ドッグだったりとか、かなり的確、かつ笑える、かつ横蹴り的な(笑)ブッキングを心がけてます。自分たちがタイで面白いと思ったものを、日本の面白いものとぶつける、というドメスティックな枠の中もしくは東西型インターナショナル的発想では出てこなかったコラボレーションが出来たらいいなと。実は有りそうで無かったタイプのイベントじゃないかなー。

――日本人から見ると、タイでCorneliusやSpank Happyが公演したと聞いて、現地ではどんな反応があったのか? なんていうのも気になります。タイの皆さんはCorneliusは知っているんですか?(笑)

遠藤:Corneliusはタイにもファンが多いんですよ。日本のポップシーンに関しての興味はすごく高い。毎年タイからフジロックに遠征しに来る友達もいる(笑)。「クラムボンのCD買ってこい!」とか頼まれるし(驚)。


SOI-Music Festival Bangkok

木村:会場にいる全員がCorneliusを知ってるわけではなかったんだけど、ライブはすごく盛り上がりましたよ。タイのオーディエンスはお祭り好きの現場主義。ライブ行って〈批評〉っていうよりもその場の楽しみ方をよく知っているんですよね。パフォーマンスがよければ知らないアーティストだとしても「ウオー!」ってみんな盛り上がるんですよね、最高です。

――SOI-Musicは、日本の音楽をタイに紹介している点が凄く面白いと思います。日本にタイ・ミュージックを紹介する意味についてはどう考えていますか?

遠藤:タイの人たちはマニアックに日本の面白いものをよく知ってる。でも、日本でタイをよく知っている人であっても、タイの話題となると、カオサンの安宿、ビーチ、タイ舞踊、マッサージ、エロと言った話題で終わりがちですよね。それ以外にタイにも都市文化はあるわけで。その面白さは紹介されれてもいいな、というのが率直に思うところです。さらに何よりも重要だと思うことは、国境を越えたところで優れた才能同士が直接繋がる路(みち)みたいなものが出来ていけばなあと。だからSOI-MUSICでやりたいことは、そういった音の路(タイ語で言うとSOI)を創ることなんです。

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