
8月15日(日) 0:40~5:10
■THA BLUE HERB、BUMP OF CHICKEN、渋さ知らズオーケストラ、オリジナル・ラヴ
夜も更けて気温は急降下。昼間の熱気と真逆の冷気に「これが北の夜か」と勝手に感慨にふけっていると、〈RED STAR FIELD〉に札幌を代表する、赤いキャップを被った長身の言葉師/ILL BOSSTINOがステージに立ち、THA BLUE HERBのライヴがスタート。シリアスにシビアにビート&リリックの勝負をしかけてきた男たちの表現力たるや! ニール・ヤングのレコードの上で、MCを披露するなどその音楽偏愛をも感じます。中半には「地元の、俺らのことを誇りに思ってくれている、自分の夢すら重ねているブラザー、シスター。そしてヤングMCに。そして今日がはじめましてのお嬢さんたちに」との語りに続いて“アンダーグラウンドVSアマチュア”を披露、最後は“サイの角のようにただ独り歩め”、名曲“未来は俺等の手の中に”でフィニッシュ。拳を突き上げる地元ファンと、言葉の鋭さに見入るロック少女がマッシュアップされた空間は、ジャンル云々は抜きにしてとにかく圧倒的でした。(原田リョウ)
1時過ぎに登場したのは2年連続出場のBUMP OF CHCKEN。今年はステージ、時間帯共に格が上がり、観客の興奮度もマックスに。おそらくこの日一番の集客だったであろうと思われたが、メンバーは気負うこともない。“天体観測”からスタートし、インディーズ時代に発表した曲を次々に畳み掛けてくる。モッシュやダイブがあちこちで起り、ファンたちが自分たちの思いを重ねるように合唱を始める。彼らは、決して多作なバンドではない。だが、アルバム発売を控えているにも関わらず、一番大きなステージのコア・タイムでの演奏を、過去曲で埋めるというのは、まずなによりも会場の雰囲気作りを優先したことの証といえるだろう。自分たちのファン以外の観客を多く含むステージで、場の流れをコントロールするのは難しいことだ。ともすれば揶揄の対象になりかねない藤原の「ドキドキしています」というMCや、ラスト曲“ガラスのブルース”に入る前の観客をライトで照らして放った「ありがとう」という言葉。その、ポーズやスタイルを排除した、あまりに純粋な言動と緩急のついた演奏は、興味本位の一見さんの心をも鷲掴みにするほどの説得力と貫禄があった。(ヤング係長)
さてラスト2アーティスト。〈SUN STAGE〉には当夜夕方〈MOON CIRCUS〉にも姿をみせたザ〈祭りのアーケストラ〉、渋さ知らズオーケストラが登場。もはや野外フェスには欠かせない大楽団は、今宵も騒げや踊れやの大騒ぎ。ステージ上部にあがる山海塾ばりの白塗り舞踏家が持つタイマツが炎を灯し、舞台袖側に左右シンメトリーで二人の踊り娘が舞い、その中心で不破大輔の指揮により奏でられる幾重もユニゾンする、ブットいホーン! 終盤にはセーラー服着用の女性MCによる 「ライジング・サンに天使が降りてくる!」という絶叫とともに、厳寒の石狩はヒート・アップしました。(原田リョウ)

昇り始めた太陽に「おお~」という喚声を上げ、日の出写真を取りまくる観客たち。そんな最高のシチュエーションで始まったオリジナル・ラヴのステージは、彼がこれまで幾度となく作品に反映させてきた、ジャイヴ~ジャンプ・ブルースへの愛情を自ら再確認するかのような内容だった。正確なギター・カッティングとウォーキング・ベース、高揚を掻き立てるパーカッション。そこにジャストなタイミングで挿まれるキーボードとホーン。間を読む洞察力と、幾多のセッションで培われた勘の結晶を音にしたような完成度の高いスウィンギーな演奏が、地平線だらけの平地に響き渡る。タイムテーブルを見た観客の多くはオリジナル・ラヴが大トリであることに疑問をもっていたかもしれない。だが、シチュエーションにマッチし過ぎな“朝日のあたる場所”や、バンド編成が最も生きていた“Jampin' Jack Jive”など、過去曲をリアレンジしてみせる構成力、完璧に再現する演奏力の高さは、疑問を抱いていたオーディエンスをねじ伏せる力を持っていたのではないだろうか。なによりも一際目を引いたのが、テンション上がりっぱなしの田島貴男の唯我独尊なパフォーマンスだ。自分の歌声に酔いしれるかのようにタメとノビを多用し、「朝っ、朝っ、朝っ、朝っ」ととんでもなくデタラメな即興スキャットを披露。その、あまりの〈俺っぷり〉に勝新の影が映って見えたのは私だけだろうか。もうひとつ気になったのが、「なんで木暮晋也は学生服を着ていたのか?」ということなのだが、それはどうでもいい話だ。(ヤング係長)
2日半に渡って蝦夷の地で行われたRISING SUN ROCK FESTIVAL。このフェスには、オーディエンスや飲食ブース、スタッフに至るまで、他のフェスではあまり見られない独特の〈ゆるさ〉がある。テントの脇でバーベキューをしながらのんびりライヴを見ている集団や、自転車(しかもママチャリ)でフェスにくる高校生たち。みんな、だらーっと続く地平線に釣られるようにのんびりしている。そんな北海道ならではの牧歌的ムードはパフォーマンスにも影響していたのか、何度も見ているアーティストのライヴが全く別モノに感じることが少なくなかった。地の利とシチュエーションを最大限に生かしたエゾロック、 「北海道はちょっと……」なんて食わず嫌いをしている方も、来年はぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
▼文中に登場したアーティストの作品を紹介