4年半ぶりの新作『THE SUN』をリリースした彼の偉大な足跡を振り返ってみよう!

この男は、クレイジーでヴァイタリティーに溢れ、その尋常でないパワーとエネルギーで、時代の先駆者として日本のポップ・ミュージック・シーンに数々の巨大な足跡を残してきた。80年のデビューから1~2年で、ロックンロールのビートに合った日本語による歌詞と歌唱法の全く新しいスタイルを創造し、ボブ・ディラン譲りともいえる優れた詩人としてのメッセージを内包した歌詞の鋭さ、またサウンド的にもそれまでになかったビートを利かせた激しいリズムと洗練されたアレンジ、そしてさまざまなジャンルの音楽を折衷させた斬新なポップ・ソングの数々によって、〈元春以降〉と呼ばれるほどの革命を打ち立てた。さらに83~84年のNYにてヒップホップ・シーンを生で体感し、いち早くヒップホップ/ラップを採り入れた作品を発表したり、リミックスした12インチのアナログを日本のみならず、自身で海外レーベルにプレゼンして世界リリースしたり、MTVのスタート間もなく本格的なプロモ・クリップを制作したりもしている。
まだまだある。80年代に限っても、みずから選曲・構成したラジオ・プログラムのDJとして、トークはそこそこに時代やメジャー/マイナーを問わず自分のアンテナに引っかかった音楽をガンガン紹介したり、編集者として「THIS」という雑誌を発行したり、みずから作ったトラックをバックにポエトリー・リーディングしたカセット・ブックという新たなフォーマットを開発したり……。また、90年代に入るとインターネットに誰よりも早く注目してネット・ライヴを実現させるなど次々と実験的試みを行い、現在でもミュージシャンのサイトとしては1、2を争う充実したコンテンツを持っている。つまり、その好奇心の旺盛さと並はずれた行動力によって、いつも時代よりも一歩先を行っていた。と同時に、自分をインスパイアしてくれるミュージシャンや映画・文学といったアートなどに敬意を表して、そのスピリットを継承し、他者へ伝える、といった伝道師としても大きな影響を与えてきた。
そんな彼が新たなアクションを起こした。独立レーベル〈Daisymusic〉を立ち上げ、4年半ぶりとなる新作『THE SUN』をリリース。混沌としたこの時代と日常をサヴァイヴするためのメッセージが全14曲詰め込まれた、力強く、そして優しさに満ちたロックンロール・アルバムとなっている。錆び付くことのない、時代を斬る鋭い言葉たち、そして希望を与える言葉たちと、彼独自のポップ・サウンドの数々にファンならずともロックされ、ロールされることをお勧めする。