ブラジル音楽の最高峰の座に君臨するシンガーが究極のカヴァー・アルバムを発表!!
簡単に〈いつまでも若々しい〉という評価をしてしまいがちだけども、50歳を過ぎてからのカエターノ・ヴェローゾの歩みは超人的、いや鳥人的というべきか。とにかく意欲的な作品を連発し、それがことごとく充実した内容で、まったく類例のないアーティスト人生を送っている。21世紀に入ってからの数作品を例に挙げても、息子であるモレーノなど若者連の力を借りて刺激的なアフロ・ブラジル的サウンドを展開した2001年作『Noites Do Norte』、トロピカリズモの先駆者と呼ばれるジョルジ・マウチネルとの連名作でカシンとの共同プロデュ-スによる2002年作『Eu Nao Peco Desculpa』など積極的な交流を行いながら、新たなページを捲るようにまったく傾向の異なるアルバムのリリースが続いている。モレーノ+2のデビュー作『Maquina De Escrever』への参加をみても、自由な足取りでラインを越えていくカエターノの現在の姿が浮かび上がってくる。好奇心の赴くままに行動し、行く先々で新鮮な空気を吸ってより強靱になるという超人ぶり。若いファンが増え続けているのも当然だ。
そして、ここに新作『A Foreign Sound』が届けられた。外国語曲のカヴァー集という点では94年の『Fina Estampa』との類似性が挙げられるだろうが、その作品以上にここでのカエターノの目つきは鋭く、ただのソングブックに留まらない聴きごたえのある分厚い一枚に仕上がった。恐るべし。
▼カエターノ・ヴェローゾの最近作および参加作品の一部を紹介。