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第1回 ─ ニンジャ・チューンの世界

第1回 ─ ニンジャ・チューンの世界(2)

連載
ミ ュ ー ジ カ ル・ジ ャ ー ニ ー
公開
2004/04/01   16:00
更新
2005/08/11   20:52
テキスト
文/青木正之、池田謙司、池田義昭、小林栄一、原田亮

DISC GUIDE(PART 1):近年のニンジャ盤、ニンジャ関連盤に潜入!

COLDCUT『Life:Styles』 Harmless (2004)

80年代半ばから活動を始め、プロダクション、DJ、映像と全ての面で革新的なアイデアを持ち込み、世界に衝撃を与えたジョナサン・モアとマット・ブラックの二人=コールドカット。近年、自身達の作品は発表していないが、未だ人気に陰りが見えずカリスマ性を漂わせ神格化する中、久々に登場した作品が、4ヒーローが手掛けたことでも知られ、アーティストのルーツを垣間見れるコンピ・シリーズ『Life:Styles』。コアなレアグルーヴ・ネタからオールドスクール・ヒップホップまで、あらゆるものを収録し音楽への造詣の深さを見せる。ただミックスCDでないのが残念!(青木)

CINEMATIC ORCHESTRA『Man With A Movie Camera』 Ninja Tune(2003)

その名の通り映画音楽と古のジャズに深い愛情と尊敬の念を見せるジェイソン・スウィンスコーのプロジェクト、ザ・シネマティック・オーケストラ。90年代後半から作品を発表しはじめるや否や、ジャイルス・ピーターソン、ミックスマスター・モリスが絶賛。その後は瞬く間に世界的評価をものにするが、そんな不動の地位にあぐらをかくことなく実験に踏み切ったのがこのアルバム。ソ連のアヴァンギャルド無声映画にフィルム・スコアをライヴで行うという、実に突拍子もない発想を実行。細部に至るまで緻密に計算されたアレンジ力が光る名作!(青木)

BONOBO 『Dial M For Monkey』 Ninja Tune(2003)

ノーマン・クックのビッグ・パーティでお馴染みの英国南部リゾート、ブライトンに住む若き才能サイモン・グリーンによるプロジェクト=ボノボ。ヒッチコックの映画「ダイヤルMを廻せ!(Dial M For Murder)」を文字ったタイトルからも伺えるが、彼の作品は映画音楽への愛でいっぱい。本盤ではハープやフルート、ヴィブラフォンといった素材を巧みに組み立て、今までのニンジャ軍団にはないメランコリック・サウンドを展開している。いわば、哀愁のブライトン。(原田)

MR. SCRUFF 『Trouser Jazz』 Ninja Tune (2002)

自身のプロデュース作品からリミックスまで、これまでに25以上ものレーベル(ワープ、カップ・オブ・ティー、サーカス、ブラッド&ファイアーetc...)に作品を残しているミスター・スクラフは、DJとしても人気があり、またキュートなイラストも手掛ける多彩な人物。現時点での最新作にあたる本作には、ミゼル・ブラザーズとロジャー・トラウトマンのフュージョンともいわれている“Shrimp”をはじめ、ブレイクビーツにソウルやジャズ、ファンク、ラウンジといった要素を絡め、彼特有のファニーで暖か味のある味付けを施した楽曲が並ぶ。(青木)

JAGA JAZZIST 『A Livingroom Hush』 Ninja Tune(2002)

ノルウェーより登場した総勢10名からなるジャガ・ジャジストは、94年に結成されて以来ライヴを中心に活動してきた経験値豊富なバンド。彼らの特徴は、その長い活動歴で培われたジャズ・バンドとしてのアンサンブルとエレクトロニクスを巧みに融合させる点だ。ブレイクビーツを使いアグレッシヴな面をみせるかと思えば、エレクトロニカ/ポスト・ロック的アプローチでムーディーな空気を作り出すなど、様々な音楽的要素を飲み込んでしまうフレキシブルな演奏がたまらない。若干ゴチャゴチャした感も受けるが、その振れ幅の広さ激しさが魅力。(青木)

DJ FOOD&DK『Now, Listen!: Solid Steel』 Ninja Tune(2001)

ニンジャ軍団のDJミックス・シリーズ〈Solid Steel〉1作目。フードお得意のブレンド技ほか、「ターンテーブルだけじゃこんな事できないよ」的手法を主体としつつも、ライブ感覚溢れるダイナミックなミックスに仕上がっている。軽さ(sense of humorってやつですよ!)と重さ(批評性)が同居する独特の雰囲気はさすがコールド・カット直系。ミックスCDというフォーマットの中で、独自のアートフォームを提示することに成功している。(小林)

HEXSTATIC『Solid Steel Presents Listen&Learn』 Ninja Tune (2003)

映像だけの人達かと思いきや、ニンジャ傘下の〈N-TONE〉からのアルバム発表も果たした2人組によるシリーズ第2作目。レアグルーブ~ヒップホップ~ブレイクビーツ等、質感の異なる曲達が緻密かつ大胆なエディット&エフェクトと、独特のエレクトロ趣味で見事に構成された58分。当然ながら選曲もバッチリで、従来のミックスCDの次元を超えて、今後このジャンルの一つの指標となるハズのファンキー&カラフルな傑作。映像も収録されたエンハンスドCD仕様。(小林)

DJ FOOD『Kaleidoscope』 Ninja Tune


元トータスのブンディー・K・ブラウンとビート詩人Ken Nordineをゲストに迎えた今作はコールド・カット在籍時のDJツール的な内容ではなく、従来からのサンプリング路線にエレクトロニカ/ポストロック的なアプローチを加えたコラージュ色の濃い内容。特に“The Ageing Young Rebel”はKen Nordineのド渋なポエトリーリーディングをフィーチャーしたモンドな4ビート・ジャズで、詩の内容も併せて必聴のキラーチューン。今作以降しばらくリリースが無いだけに、新作が待たれるところ。(小林)

THE HERBALISER『Solid Steel Presents Herbal Blend』 Ninja Tune (2003)

シリーズ3作目はUKヒップホップを代表するアーティストでニンジャのアーティストの中でも古参のハーバライザーによるミックス。もはや、お家芸の域に達したブレンド技は今作でも健在で、ジェイ・ディー“Fuck The Police”とランDMC“Sucker MC's”をブレンドしたトラックに、故ジャム・マスター・ジェイに捧げたというスクラッチがのるあたりは今シリーズを象徴するような出来。DJシャドウの“The Number Song (Cut Chemist Party Mix)”が収録されことでも話題に。(小林)

WAGON CHRIST『Musipal』 Ninja Tune (2001)

ニンジャから初のリリースとなる今作(コンピレーション盤などへ参加を除く)は、2ステップの要素を取り入れたシャッフル・リズムと、美しいメロディの対比が印象的。一方でモ・ワックスから以前リリースされた“Big Soup”の延長線上にあるようなブレイクビーツ/ヒップホップ的な曲も収録。遊び心満載のビートとお茶目なサンプリングによるコラージュが織り成す、一大音絵巻といった感じ。(小林)

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