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第1回 ─ ニンジャ・チューンの世界

連載
ミ ュ ー ジ カ ル・ジ ャ ー ニ ー
公開
2004/04/01   16:00
更新
2005/08/11   20:52
テキスト
文/青木正之、池田謙司、池田義昭、小林栄一、原田亮

ヒップホップ黎明期に芽生えた遊び心を糧に、英国から常に実験精神をもったビート野郎を送り続けてきたレーベル、ニンジャ・チューン。その集大成盤ともいえるCD&DVDがリリースされ、コールドカット軍団の来日公演も押し迫る今、ここはひとつ彼らの歩みを振り返ってみるとしましょう。1990年からはじまる〈レッスン1-2-3〉、レーベル14年間の軌跡&ディスクガイドで復習復習!

巧みに変わり身!? ニンジャ・チューンの歩んだ14年の軌跡

 微妙というか絶妙といったらいいのか、不思議なテンションを維持して〈ニンジャ・チューン〉というレーベルは今尚存在し続けている。

 90年に設立されたニンジャ・チューンを統括してきたのはご存知コールド・カット。ご存知といっても、ここ7年ほど新作は出していないんだけれど。にもかかわらず、彼らの影の濃さって一体……。それはかつての活躍っぷり、例えばイギリスではじめてサンプリングを使った曲“Say Kids(What Time Is It?)”であったり、Bボーイを驚愕させたエリックB・ラキム“Paid In Full”のリミックス、または時代より3歩早かったメガミックスCD『Journeys By Dj:70 Minutes Of Madness』での強烈な印象が残っているせいか。ただ、それが過去の栄光ではなく期待感を含んだものになっているのは、彼らが順調なレーベル運営をしているからであろう。
 
 設立当初のニンジャ・チューンはDJのツール的なトラックものばかりをリリースしていたが、やがてUKヒップホップの発展型であるトリップ・ホップやアブストラクト系のユニークなアーティストを次々と発掘、紹介して注目を集めていくようになった。9レイジー9やファンキー・ポルチーニ、DJフード、ロンドン・ファンク・オールスターズ、アップ・バッスル&アウトといったアーティストが次々と飛び出してきて、その個性的でフレッシュなサウンドがクラブ・シーンを魅了していった。ブレイクビーツの持つ雑食性を最大限に活かしたレーベルの方向性、これは見事に当たった訳で。
 
 レーベルとしては次にドラムンベースとの邂逅をみせるようになり、アモン・トビン、チョコレート・ウィーゼル、アニマルズ・オン・ウィールズといったクセ者が登場する。さらに、ターンテーブリストのキッド・コアラ、偏屈テクノ系のルーク・ヴァイバート(a.k.a.ワゴン・クライスト)、キャベッジ・ボーイあたりが出てくると、もうレーベルとして一ジャンルを形成するような趣になってくる。流行りのシーンを横目に、常に本線とは外れた、それでいて何か引っ掛かる音を投げかけてくるのだ。所属アーティスト全てが共有している妖しげな輝き、この根幹にはコールド・カットの存在がある。彼らの意志が確実に反映されているからこそ、その影は濃い。
 
 近年ではシネマティック・オーケストラやジャガ・ジャジストの作品が話題となり、レーベル設立14年にして尚〈ニンジャここにあり〉を示している。レーベルとしての体力は無尽蔵のようだ。
 
 ニンジャ・チューンはコンピレーション盤も傑作揃いだが、最新作にしてこれまでの歩みを振り返るCD2タイトル『A Retrospective』、『Remix Retrospective』とDVD『Best Videos』は正に〈ニンジャ3種の神器〉といえる。今後も続々とリリースが予定されていることを考えると、まずは備えあれば憂いナシですよ。(池田謙司)

▼ 文中で紹介した作品はこちら

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