THE LIVELY ONES
『Surf Rider!』 Del-Fi/1963
「パルプ・フィクション」のエンド・ロールで“Surf Rider”が使用され、いまの世代にも認知されることになったライヴリー・ワンズ。キラキラしたギター・トーンは、当時フェンダー社の最高級モデルとして発表されたばかりのジャガーを使用したことで得られた。破壊的なサックスや豪快なドラムの演奏は、のちのパンク・ロックにも共通するワイルドさ。本作を含め、62~64年の間に5枚のアルバムを発表している。
JON & THE NIGHTRIDERS
『Raw & Alive '98』 Gee-Dee/1998
70年代後半のサーフィン・リヴァイヴァル・ブームの流れから結成された、80年代を代表するバンド。リーダーのジョン・ブレアはサーフ・ミュージックの研究家としても高名であり、数々のサーフ・コンピレーションや復刻も手掛けている。ストラトキャスターに太いフラット弦を張り、深くかけたリヴァーブとともに研究家ならではのサウンドを出しているが、決して古臭くなく、リアルタイムのロックとしてサーフ・サウンドを作り出しているのはさすがである。
THE ASTRONAUTS
『太陽の彼方に』 BMGファンハウス
日本では〈ノッテケノッテケ……♪〉と歌詞が付いてヒットした“Movin'”(太陽の彼方に)のオリジナルがアストロノウツ。当時のサーフ・バンドには学生ガレージ・バンドと、ブームに便乗したプロのバンドとがあったのだが、どちらかといえば彼らは後者。リー・ヘイゼルウッドによって計算された音作りは〈サーフィン版ウォール・オブ・サウンド〉といった趣。ヴォーカル・ナンバーも数多く録音、“Hot Doggin'”のスピード感は最高にイカシてる。
THE PHANTOM SURFERS
『The Exciting Sounds Of Model Road Racing』 Lookout/1997
90年代、サーフ・ガレージ・バンドが台頭していく火付け役となったのがファントム・サーファーズ。当時の機材を使い、徹底的にローファイな感触にこだわったサウンドは、いかにも(コレクター文化が華開いた)90年代的なアイデアで、日本のジャッキー&ザ・セドリックスらとともに、現代にサーフ・ガレージを普及させた功績は大きい。日本にもたびたび来日しており、ワイルドでユニークなパフォーマンスを見せてくれた。
THE TRASHMEN
『Live Bird '65-'67!』 Sundazed
サーフ・バンドというよりパンク/ガレージのルーツとして評価の高いトラッシュメン。“Surfin' Bird”は、ボビー・フラー・フォーの“I Fought The Law”(クラッシュのカヴァーでお馴染み)と並び、パンク・クラシックとなっている。フェンダー・ジャガーとリヴァーブの組み合わせによるギター・サウンドは、ディック・デイルやリンク・レイ、果てはカントリーやブルースも採り込んだプレイを見せ、その音楽性は幅広い。
加山雄三とランチャーズ
『ブラック・サンド・ビーチ』 Dreamusic
60年代、洋楽的センスでもって作品を作り、演奏できた数少ない日本人アーティストが加山雄三である。ヴェンチャーズのサウンドを基本にはしているものの、シングルとして発表された国産サーフ・インスト“ブラック・サンド・ビーチ”の完成度は、とても日本人とは思えないほどで、海外でもカヴァーされていたりする。ちなみに、そのB面だった“ヴァイオレット・スカイ”はサーフを通り越してサイケに首を突っ込んでいる。