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第7回 ─ “ロング・ゴーン”ジョン――W・ストライプスのレーベルオーナー

第7回 ─ “ロング・ゴーン”ジョン――W・ストライプスのレーベルオーナー(3)

連載
Sonically Speaking
公開
2003/01/23   17:00
更新
2003/01/24   22:26
テキスト
文/キース カフーン

Q:リリースするアイテムはどうやって見つけるの。マニアックなものやアメリカ以外のバンドも多いみたいなんだけど。
デモテープを郵便なんかで受け取ることはあまりないね。時間を割いてまでデモテープを聞く気もないし。たいていなんらかのプロジェクトが次につながっていくんだよ。自分でバンドを探しに行くようなこともしない。いつも忙しいんだ。もちろん、知ってるバンドのライブに行くこともあるけど、知っているもの全部を見ようとするときりが無いし、そんな気も毛頭ない。どちらかといったら出不精なほうだから、家にいるほうが好きだね。

Q:アメリカでは最近日本のポップ・カルチャーに対しての関心が高まってきているみたいなんだけど、LAでもそういう傾向は見られるのかな。
全てを熟知しているわけではないんだけど、個人的には日本のカルチャーには以前からずっと興味があったよ。おもちゃとか音楽とかにね。おもちゃなんかは何年も前から集めているんだ。とくに好きなのは少女アニメ系のフィギュアだね。ファンタジーものやヒーローものではなく。あとは、むかしのモンスターものや鉄腕アトムなんかも気に入ってる。バンドでいうと…、そうだね、このあいだ日本のバンドのライブをふたつ見たんだ。ゴー・デビルズとジャッキー&ザ・セドリックだったんだけど、どちらも最高のショーだった。多分こっち(LA)では、外国のものであるということだけでアピールすることができるんじゃないかな。頻繁に目にすることができないからね。でもそれは、日本でのアメリカバンドに対する受け止め方も同じなんだろうね。

Q:数多くの日本のバンドと契約を交わしているけど、最初はどうやって彼らを見つけたの。
最初のアーティストは、ティーンジェネレイトの前身バンド、アメリカン・ソウル・スパイダーズだった。89年にすごく気合の入ったデモを送ってくれたのがきっかけでね。当時は、他にも小さいバンドのシングルも沢山リリースしたんだ。あと、大阪のTIME BOMBレーベルにいた友人のケンジを通じて、5,6,7,8's、スーパースナッズやマッド3のレコードをリリースした。最も気に入っているバンドのひとつに、山口出身のバナナ・エレクターズというのがいるんだよ。凄いバンドで、ボーカルのメイ・レモネードには惚れていたんだ…。メイ、これを読んだら連絡をくれよ。

Q:あなたはアートファンとしても有名だけど、とくに好んでいる日本のアーティストは誰?
唯一本当に知っていると言えるのは、ロッキン・ジェリー・ビーンだね。彼は素晴らしいアーティストだよ。それとはまた他の分野ですごいと思うのは、ハンドメイドでオリジナルフィギュアを作っているアーティスト達だね。ここで一から説明するわけにはいかないけど、ゴシック調で少し気味悪くて、とても美しい人形を作るアーティストの作品を集めるのが好きなんだ。

Q:どんなアーティストの作品をコレクトしているの。
自分を「コレクター」という枠に当てはめるのはあまり好きじゃないんだけど…、まあそれが的確なのかな。そうだね、集めているアーティストを何人か挙げるなら、todd schorr、alex gross、eric white、the pizz、camile rose garcia、coop、margaret keane、neon parks、robert williams、xno, olivia、lennie mace、donald roller wilson、the clayton brosやmark rydenのものがたくさん。

Q:あなたが好きなアートには、アメリカン・コミックの要素を含んだものが多いようなきがするんだけど。
とくにアニメやコミックが好きというわけではないよ。ただ、レン・アンド・スティンピー(Ren and Stimpy)とパワー・パフ・ガールズ(The Power Puff Girls)は好きだね。あと日本のアニメだと、カウボーイ・ビバップ(Cowboy Bebop)にも愛着はある。

Q:数あるリリースアイテムのほかに、ロッキー・エリクソンやニューヨーク・ドールズなどの素晴らしい再発盤があるけれど、これらを手掛けようと思ったきっかけは?
ニューヨーク・ドールズは、俺の歴代の本命バンドだったんだ。マネージャーから『Live in Paris』のアルバムの話を持ちかけられたんだけど、そのときは本当に興奮して取引に応じたね。ロッキー・エリクソンも同じように、俺がずっと大好きだったんだ。彼のアルバムのボーナス・トラックにはデモ曲を収録したんだけど、あれは俺のリリースしたものの中で最も好きな作品になったよ。