『Bleach』 Sub Pop(1989)
発表当時はサウンドガーデン、マッドハニーらに続く二番手という感じだったのは否めない事実。ではなぜそうだったのか? そう、ここには彼らには無かったピュアなメロディーが存在していたから。このわかりやすさが、アンダーグラウンド界隈では〈普通〉に聴こえたのかもしれない。しかしその〈普通〉が実はとんでもないモノだったことに、あとで皆は気づいた。
『Nevermind』 DGC/Geffen(1991)
日々の生活に不安を抱き、もがいていたアメリカの若い世代。なのにシーンの中心は見当違い。まったくもってリアルじゃない。そんななか飛び出した今作は、彼らの価値観に付合して大ブレイク。コンパクトな楽曲のなかにすべてを備えた等身大で現実的なパンクを、放っておくことは難しい。作品性はもちろん、現在のシーンを知るうえでもマスターピース。
『In Utero』 DGC/Geffen(1993)
ブレイクに反発した形で発表されたラスト作。彼らの作品のなかでももっとも荒々しく尖った内容となった。そんなカートの思惑を軽く越えるほど、シーンは彼に絶対的信頼を抱いていた。攻めたつもりが、それをも上回る世間の許容度……もちろんその器を作ったのはニルヴァーナ自身だ。何回聴いても痛いアルバム。極限のエモーションがここに。