取材後記――上原あずみに感じる歌謡的嗅覚
すべての楽曲で自身の詞(ことば)を綴るあずみちゃん。十代のオンナのコが作詞を手掛けるなんてこと自体は、いまさら驚くようなことではないけど、いにしえの歌謡曲にも通じる詞の聴き取りやすさであるとか、聴かせるポイントの押さえ方なんかを身につけているあたりは、ちょっとした驚き。好きと語りながらも「とくに〈パンク〉って意識では聴いてないですね」というザ・ブルーハーツにしても、彼女の場合、日本人のハートに必中する〈歌謡的部分〉を嗅ぎ分けて聴いていたのではないかと思われます。そういった歌謡的嗅覚が、かつての若者ではなく彼女のような世代にも芽生えているということであれば、近頃の〈昭和歌謡〉なんて騒ぎもうなずける話……かも知れませんね。(ピ~ス!久保田)