初めて買ったシングルはハウリン・ウルフ、LPはライトニン・ホプキンスだった
──フォークとブルースは、よく一線をひかれて区別されながら、結局はどっちのカテゴリーに属しても違和感ないように感じられます。あなたにはどういった違いが感じられますか。
いわゆるブルースと呼ばれるカテゴリーでは、あまりにも「非道」な行為が横行しているから、どちらかというと自分の音楽はフォークだと考えたいね。でも、そんな非道行為はフォークでも同じだけあるのかもね……。なら、「アメリカン･ルーツ」と呼ぶのがいちばん適切かも。
──ハル・ウィルナーがプロデュースしたハリー・スミス・プロジェクトでは、『Murder Ballads』というアルバムを制作したニック・ケイブと共同で取り組んでいますが、彼のフォーク/ブルースへのアプローチは、ご自身のそれと比べてどういう差がありますか。
残念ながら、今までそのアルバムを聞く機会がなかったものでね。
──多くのロックファンが、過去にローリング・ストーンズのライナーノーツを読んで初めてブルースに親しみを持ったと言っています。あなたにもこのような経験はありますか。もともと、初めてブルースやハリー・スミスの音楽を知ったのは、どのようなきっかけで？
僕の家族のみんながみんな、兄や姉妹や父親までが、いろんな音楽を探求していた。幼い頃、家にはいつもハリー・スミスのレコードがあったね。初めて店で買った45回転盤（アナログ7インチシングル）はハウリン・ウルフの“Tail Dragger”で、11歳のときに初めて買ったLP盤はソニー・テリーとブラウニー・マクギーも参加しているライトニン・ホプキンスのものだった。イギリスからの影響が入ってくる前に、ニューヨークではフォークがリバイバルを果たしていて、そのことも僕の音楽の嗜好に大きな影響を残しているね。
