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第4回 ─ ニューヨーク・ドールズから「ハリー・スミス」まで──デビッド・ヨハンセン インタビュー

第4回 ─ ニューヨーク・ドールズから「ハリー・スミス」まで──デビッド・ヨハンセン インタビュー(2)

連載
Sonically Speaking
公開
2002/10/24   19:00
更新
2002/11/01   12:46
テキスト
文/キース カフーン

ハリー・スミスの音楽を演奏していると、本当に心が落ち着く

──Cheskyから出しているブルースのアルバムでは、主にジャズで育ったアーティストを起用していますが、一緒に演奏するアーティスト達をどうやって決めたのですか?

 このプロジェクトは、ニューヨークにある「Bottom Line」というナイトクラブのオーナー、アラン・ペッパーが、クラブの30周年を祝うショーをやってくれ、と依頼してきたときに始まったんだ。当初は、ハリー・スミスをテーマにした1回きりのライブの予定だった。
 それまでの2年間、『Buster's Spanish Rocket Ship』を完成させるためにキューバ音楽を学んでいたせいもあって、作品が出来たあとに、昔のカントリー・ブルースのアルバムを引っ張り出して聞き始めたときは、本当に新鮮味があったね。初めて聞くかのように。このラテンミュージックの経験は、僕を発展させてくれた。もっとも、どんな音楽的経験にしてもそうだけどね。
 こうした経験を踏まえて、なにをやりたいのかを僕の専属ギタリストで、コラボレーターでもあるBrian Kooninに相談したら、Larry Saltzman (ギター)、Kermit Drescoll (ベース)、Joey Baron (パーカション)、そしてKeith Carlock (ドラムス)を紹介されたんだ。きっとジャズの素養がある連中ってのは、この手の音楽の真髄に触れるのがうまいんだ。逆にロックの連中は、ブルースを演奏すればどれも同じような音にしてしまうんじゃないかな。 ポインデクスターと一緒に演奏したことのある連中はたいていジャズあがりだから、彼らとは波長が合うんだ。

──これらの楽曲を、今年はいつどこで演奏する予定ですか。

 この音楽を演奏しているときっていうのは、心が落ち着くんだ。時間が止まってしまったかのように。だから、できるかぎり演奏したいね。ハリー・スミスものを聞きたいって人がいる場所なら、どこででも演奏するよ。

──昔のブルースやフォークソングが口コミで広がったように、また結果として歌詞やコードにもいろんなバリーエーションができてしまうように、楽曲を少しでもいじるようなことはありましたか。

 意図的には変えてない。ただ、多くの楽曲にベースやドラムを加えたから、すごく変わったように聞こえるかもしれない。それに、歌詞が拾えないときは、自分で作ってしまったしね。

──アルバム『Shaker』には、死をテーマにした楽曲が多く収録されていますが、このテーマに、なぜそれほどまでに惹かれたのですか。

 『Shaker』は、昨年の9月11日のテロ事件の直後にレコーディングしたんだ。当時のニューヨークでは、死に対する無秩序な空気が流れていた。またそれとは別に、人っていうものは年齢を重ねるごとに、生死に興味をもつものだしね。