
CYBILL SHEPHERD
『Mad About The Boy』Crepuscule(1978)

代表作は「タクシードライバー」。ピンナップ・ガールとしても活躍してた彼女は、日本で言うとさしずめ市川実和子か。スタン・ゲッツらをバックに、アントニオ・カルロス・ジョビンで有名な“Triste”、レオン・ラッセル“This Masquerade”などのカヴァーを歌うジャズ・アルバム。(久保田)
GOLDIE HAWN
『Goldie』DRG(1972)

そのコメディエンヌとしての才能が、女優としてチャーミングなキャラクターを生み出しているゴールディ・ホーン。彼女が唯一リリースした本作には、レニー・ワロンカー、ニック・デカロなど西海岸の職人たちが参加。ジャケのイメージそのままに、柔らかな陽射しに揺れるバーバンク・サウンドに夢心地。(村尾)
藤真利子
『ガラスの植物園』テイチク(1984)

フランス・ギャル、ジェーン・バーキンらが歌ったおなじみのフレンチ・ポップに、自身(ペンネームは微美杏里)が書き下ろした――オリジナルとは意の異なる――日本語詞を乗せて。欧州チックな装いに身を包み、モードにも敏感だった個性派女優が作り上げたキュートな世界。ちなみにプロデュースは松任谷正隆。(久保田)
戸川純
『ツイン・ベリーベストコレクション』テイチク

そのナイーヴさとコメディエンヌ的奔放さで、シンガーというキャストを演じてきた戸川純。パンク~ニューウェイヴ~アヴァンギャルドという音楽遍歴のなかで、時にはニナ・ハーゲンのように、時にはジュリエッタ・マシーナのように女の情念を歌に込めていく。そのあまりの純情さゆえに異形の歌姫。(村尾)
MOULIN ROUGE!
『Soundtrack』Interscope(2001)

きらびやか&下世話なレヴュー感をふりまき、蝶々のように歌いまくるニコール・キッドマンが麗しい、主演作のサントラ。圧巻はビートルズ~キッス~U2~テルマ・ヒューストン~ウイングスとかのラヴソングを目まぐるしく歌い継ぐ“Elephant Love Medley”。これぐらいの厚化粧がちょうどいい。(狛犬)
JENNIFER LOPEZ
『J.Lo』Epic(2001)

花博のミュージカルでデビュー、非運の歌姫セレーナを熱演し、アナコンダの追跡を振り切ってシンガー・デビューしたJ-LO。だけどいまでも女優よ。この2作目でもジャ・ルールと艶技派ぶりを競ったり、YMOネタで“Play”したりいろいろ演ってます。なお、私生活ではヒモ夫を捨てる女を熱演中。(狛犬)
市川実和子
『PINUP GIRL』ソニー(1999)

演技はどうあれ、無害過ぎる女優シンガー作品が(日本では)目につく昨今。ここまで丹精込めて作られ、歌い手もそれに応えている作品は希有。作家陣には大瀧詠一、細野晴臣、鈴木慶一、筒美京平、井上大輔ら。ニュアンスこそ違えど、深田恭子と共に〈歌手〉としてもっと大評価したい(どちらも小西康陽絡みだ)。(久保田)
JENNIFER LOVE HEWITT
『Barenaked』Jive(2002)

「ホットサマー」におけるイキのいい脅えっぷりで人気を集めたジェニファー・ラヴ・ヒューイットは、ロウティーンの頃からシンガーとして活動しており、これが4枚目。メレディス・ブルックスに全編を委ね、リアルな生身の女性像を演じています。なんといっても名前(本名)にラヴですから。(狛犬)
美輪明宏
『白呪』ENSEMBLE(1975)

性別を越え、人種を越え、ユニヴァーサルな地平で〈絶対女優〉として君臨する美輪明宏。地上のルールに縛られないその魂から発せられる歌声は、因果や呪いを呑み込みながらも美しい紫の輝きをまとう。従軍慰安婦、土方、孤独なマダム、さまざまな配役を〈生きる〉本作。“悪魔”は史上最強のアシッド・ロックなり。(村尾)
――そして、歌われる女優。
女優は歌う者、演じる者である前に、まずなによりも崇められるもの。とにかく万人に愛され、賛美されることでその輝きは増していくわけです。そんなわけで、ミュージシャンが彼女たちについて歌ったもののなかからいくつかをご紹介。まずはウィノナ・ライダーに宛てたマシュー・スウィートのナンバー、その名も“Winona”。スティール・ギターが哀切なバラードなんですが、マシューの純情な歌声で〈ぼくのちっちゃな映画スターになっておくれよ〉なんて歌われるとキュンとしちゃいます(そういえばウィノナはベックとウワサがあったりしましたが……)。はたまたグッと大人にカエターノ・ヴェローゾ“Giulietta Masina”なんてものも。ジュリエッタ・マシーナは、カエターノが大好きなフェリーニ映画のマドンナにして監督夫人。〈あの顔こそが/キリストの心だ〉なんて歌詞が詩人です。で野坂昭如“マリリン・モンロー・ノーリターン”とくるわけなんですが、ここでマリリン・モンローに込められた象徴性こそ女優の究極。終末のなかで咲く、その幻のような美しさを皆で愛でようではありませんか。(野間 仁)