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第7回 ─ 歌う女優

歌う女優たちの麗しの銀盤をご紹介!!(その1)

連載
Discographic  
公開
2002/10/02   13:00
更新
2002/10/03   23:00
ソース
『bounce』 236号(2002/9/25)
テキスト
文/久保田泰平、狛犬、村尾泰郎

MARILYN MONROE
『The Very Best Of』Stardust


女優という世界に、ひとつのカテゴリーを作ったとさえいえるマリリン・モンロー。そのゴージャスでコケティッシュな歌声は、まさに〈モンロー・スタイル〉。ショウガール風の華やかさのなか“Happy Birthday Mr. Presient”で見せる純情さに、〈ノーマ・ジーン〉の横顔をチラリと覗かせたりも。(村尾)

JULIE LONDON
『Julie Is Her Name』Liberty(1955)


40年代にハリウッド映画/TVで活躍、50年代に入ってジャズ・シンガーとしてデビューしたジュリー・ロンドン。その甘美なハスキー・ヴォイスは、まるで秘密クラブからの招待状のよう。とりわけ“Cry Me A River”の悩ましさといったら! バーニー・ケッセルのムーディーな伴奏ギターも味わい深し。(村尾)

FUNNY FACE
『Soundrack』DRG (1957)


オードリーのミュージカル・サントラといえばまずはこれ。地味な古本屋の店員演じるオードリーが、スーパーモデルに変身!というシンデレラ・ストーリー。“Bonjour, Paris!”の溌剌とした歌いっぷりもいいけれど、ケイ・トンプソンとデュエットする“On How To Be Lovely”のチャーミングなこと!(村尾)

JEANNE MOREAU
『Jeanne Chante Jeanne』Polydor France(1965)



どの映画を観ても、いつもしかめっ面のジャンヌ。そんな彼女が愛らしい横顔を見せてくれる本作。ところどころにボッサのフィーリングを忍び込ませながら聴かせてくれる歌の数々は、穏やかな昼下がりを思わせる優しさ。裏ジャケで草むらに横たわる彼女、その笑顔が驚くほど眩しい。(村尾)

ANNA
『Soundtrack』ユニバーサル(1966)



セルジュ・ゲンスブール作曲、ミッシェル・コロンビエ編曲による幻のミュージカル・コメディー「アンナ」。歌うはフランスが誇るクール・ビューティー、アンナ・カリーナ。ちょっぴり物憂げに囁かれる〈太陽の真下で〉のキュートさ。〈ローラー・ガール〉で聴かせる巻き舌の悩ましさ。どちらも忘れられない!(村尾)

JANE BIRKIN
『Lolita Go Home』Mercury France(1975)


消え入るようなハイトーンな歌声が物語るさまざまな愛の風景。セルジュ・ゲンスブールによってスキャンダラスにプロデュースされた〈永遠のロリータ〉役を完璧にこなせるのはジェーン・バーキンだけ。シュガー・コーティングされたファンク・チューン“Lolita Go Home”を一晩中しゃぶっていたい!(村尾)


サントラ『8 Femmes』(Warner Bros. France/ワーナー)。スコアはクリシュナ・レヴィが担当

この秋、銀幕を彩る8人のオンナたち


さて皆様にお楽しみ頂いております〈歌う女優〉ですが、そのテーマにまさにピッタリの映画が、この秋公開されます。タイトルは「8人の女たち」。今回インタヴューで登場したシャーロット・ランプリング主演映画「まぼろし」の監督、フランソワ・オゾンの最新作です。一軒家で起きた殺人事件を軸にしたミュージカルなのですが、カトリーヌ・ドヌーヴ、ダニエル・ダリュー、エマニュアル・ベアールなどフランス映画で活躍する8人の女優たちが登場、劇中で歌い踊ります。したがってサントラも楽しい仕上がり。ドヌーヴがシルヴィー・ヴァルタンを、ダリューがジョルジ・ブラッサンスを、それぞれカヴァーするなどフレンチの薫りいっぱい。ファニー・アルダンによるスタイリスティックス〈愛のすべて〉のカヴァーなんて、まるで上品なショコラみたいなスウィートさなのです。(編集部)