いまいちばん好きな日本人アーティストはフライド・プライドだ
昔からギターを習おうともしていて、実は今でも練習している。短期間だったけど2人からギター・レッスンを受けていたこともあった。その先生達、2人とも少しだけ有名になったんだけど、その1人はサンフランシスコのクリス・ヘイズという人だった。後にヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのギタリストになった。もう1人はストックトンで同じ高校に通う日本人だった。名前はトミー・マックレンドン(両親とも日本人だったので、なぜスコットランド系の名前なのか理解できなかったけど)で、兄貴のダンと一緒にサンダーウィングというバンドを組んでいたやつだった。トミーは素晴らしいギタリストで、ダンがベースを弾いていたんだけど、ダンはレコーディングや機材の方に興味があったらしい。ダンは日本でいくつかバンドをプロデュースしたことがあると話してくれたことがあって、どうせ、いとこのアマチュア・バンドか何かだろう、と思っていた。ところが、のちにラウドネスとカルメン・マキをプロデュースしたことを知ってびっくりした。トミーの方はアトミック・トミーというステージ・ネームを名乗り、UFOでマイケル・シェンカーの後釜に入ったギタリストとなった。僕はギターの腕が一向に上がらないのにもかかわらず、音楽に興味を持ち続けて、この頃もまだレコード店通いはおさまっていなかった。特にバーゲンものに目を光らせるようになった。
そのうち、ロンドンでA&Rの仕事をしないかと誘われて、良さそうな話だったので、新しい音楽の才能を発掘するためにロンドンへ渡った。仕事としてバンドのライヴを見る、という考えにはどうしても馴染めなかったけど、結構楽しい仕事だった。ちょうど、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドがブレイクした夏だった。その頃、僕が一番気に入っていたシャーデーは、アメリカでのレコード契約も決まっていなかった。
その後、何ヶ月かして、日本のタワーレコードのゼネラル・マネージャーという仕事をオファーされた。日本という国は僕のような音楽マニアにとって天国のような場所である。国内盤の他にもアメリカやイギリスなど世界中からの輸入盤が揃う国だ。日本のポップスにはもともとあまり興味はなかったけど、近頃はバラエティーが増えたと思うし、質も良くなってきていると思う。それに、最近はインディーのレーベルが力を増してきている。歴史的に見ても革新的な音楽を世に紹介してきたのはたいていインディー・レーベルだ。日本ではJレゲエ、Jテクノ/クラブ、Jパンク、Jノイズなどエキサイティングな音楽が発掘されている。僕がいま現在、いちばん好きな日本人アーティストはジャズ・グループのフライド・プライド。クールなパーカッション、不思議なアレンジ、グレートなギター・プレイ、素晴らしいヴォーカル、そしてイカすスキャット。まだ聴いていないなら是非チェックするべし。
おつき合いありがとう!