日本のタワーレコードのボス(代表取締役)にして、bounce、bounce.comのパブリッシャーでもあるキース・カフーンが構想ン年のミュージック・コラムを遂にスタート!
一回目の今回は、自己紹介に代えて、キースがどんな風に音楽とつき合ってきたかを告白します。
初めて買ったアルバムは、ストーンズの『Got Live If You Want It』

オハヨウ、キース・カフーンデス。
今回から音楽に関するフリー・コラムを書くことになりました。僕はありとあらゆる音楽が好きで、古今東西の音楽の魅力についてこのコラムを最大限に利用できれば、と思ってます。ほとんどの方は僕のことを知らないでしょうから、まずは僕自身と僕の音楽的な背景について話したいと思います。
僕はカリフォルニア州のストックトンという中ぐらいの規模の街で生まれ育った。サンフランシスコから車で90分から100分ぐらいのところに位置する街だ。音楽的な観点から見ると、ストックトンは昔から才能あるミュージシャンを多く輩出している。
パシフィック大学(元パシフィック・カレッジ)の音楽学部は全米屈指の音楽教育機関の1つとして知られていて、ギル・エヴァンスやデイヴ・ブルーベックなどジャズ・ ヒーローが学んだことでも有名。また、ジャズ詩人/天才/狂人のロード・バックリーもストックトン出身である。もう少し最近になると、シンガーのクリス・アイザックもストックトン出身者であり、多くのヒット曲を誇り、現在は自分のテレビ番組(内容はバンド生活を描いている)も持っている。その昔、彼がシルヴァートーンというバンドで活動していた頃に彼のライヴを見たことがある。また、インディー・バンドのペイヴメントもストックトン出身だ。

The Rolling Stones『Got Live If You Want It』
僕自身は8才の頃から音楽に目覚めた。膨大なレコード・コレクションを持っていた近所の年上の男の子に触発されたのだ。そのうち、この近所の子は自分のラジオ番組を持つまでになり、ミステリー・ジョックという名前でDJとしてラジオに登場するようになった。彼は人気はあったのだけれど、変人だということでクビになってしまって、タクシー運転手になった。その頃、最も人気のあるバンドはビートルズとローリング・ ストーンズの2つで、近所ではみんなでどっち派か競い合っていた。僕はとことんストーンズ派だった。生まれて初めて自分で買ったアルバムはストーンズの『Got Live If You Want It』。
初めて見たライヴはアイク&ティナ・ターナーだった。すごく気に入って、R&Bにのめり込むようになった。ジェームス・ブラウン、リトル・リチャード、サム&デイヴ、オーティス・レディングなどを聞きまくっていた。ライヴを見るにはサンフランシスコはもってこいの街だった。15才か16才の頃になると1人でサンフランシスコまでドライブをして、昼間にフィッシャーマンズ・ワーフのタワーレコードに行って、夜はライヴを見に行く、というパターンが多かった。
いろんな会場に足を運んだが、最も頻繁に行っていたのがウィンターランドだった。確実に100回以上は行っていると思う。昔はアイススケート場だったんだけど、ライヴにうってつけの大きさと形をしていて、伝説的なプロモーター、ビル・グラハムが仕切っていた。ウィンターランドではいつも3つ以上のバンドがプレイしていたから、1晩でたくさんのバンドを見ることができた。グレイトフル・デッド、タワー・オブ・パワー、ボズ・スキャッグス、そしてチューブスといったあたりのサンフランシスコ出身のアーティストは、少なくとも10回以上は見てるんじゃないかな。