オトナへの扉を開く合言葉〈ファースト〉、そして〈KISS〉
文/醐樹弦瑶
彼女ぐらいのお年頃のコが口にしてこそリアリティーがある〈ファースト〉=〈初めての……〉という言葉には、未知の世界へ踏み入る〈ドッキドキ感〉、未熟なだけに成就できない〈せつなさ〉などを伴って、グッとしめつけられるものを感じますな。圧倒的な歌唱力とオトナっぽいフィーリングをもちながらも、どこかつたなさを感じさせる宇多田ヒカル“First Love”や、つたない歌唱力で懸命に感情を絞り出していく上原多香子“my first love”などもその好例でしょう。
巷での価値観が変わろう(乱れよう)とも、ティーンにとっては、やはり〈秘めごと〉である〈KISS〉という行為。その言葉を口にするとき、そこには必ず〈恥じらい〉〈ためらい〉など複雑な感情が絡むんだけど、そこに不純さがないのは若者の特権。タンポポ“ラストキッス”は、ちょっぴりオトナな曲ではあるのだけど、一所懸命オトナになりきろうと背伸びを試みてる雰囲気におさまって、結果、純なティーン・ポップになっている好例でしょう。
〈ファースト〉〈KISS〉という、オトナへの扉を開く合言葉を掲げて……さあ、 2002年の松浦亜弥はどうなっていくんだろう?