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第8回 ─ Krankey

連載
U.S. LABEL GUIDE
公開
2001/12/06   00:00
更新
2002/07/22   16:37
ソース
『bounce』 227号(2001/11/25)
テキスト
文/小林 英樹

60~70年代のアシッド感覚を現代に継承するシカゴのレーベル

 相変わらず絶好調なシカゴ・インディー・シーン。ハードコア→オルタナティヴ→ ポスト・ロックと、ホントにこの地のシーンは健全な成長を遂げていると思います。 しかし、もちろんこの流れだけでシカゴを語ることはできません。そこでクランキー 。今回紹介したいレーベルであります。

 設立は93年。シカゴのディストリビューターで働いていたジョエル・レオシュケと ブルース・アダムスは、〈俺たちもレーベルやりてぇ~〉と、韓国料理を食いながら 話していたそう。そんなある日、ジョエルがとあるシングル盤を持ってブルースのと ころへ。それは2人があまり聴いたことのないタイプのインディー・ロック・バンド の作品でした。それがリッチモンドのラブラッドフォード。早速2人はバンドにモーションをかけ、アルバム制作へ。そしてレーベル名はジョエルの性格から、〈Cranky (気難しい、不機嫌)〉に手を加え〈Kranky〉へ。同年末記念すべき第1弾として、 ラブラッドフォードのアルバム『Prazision』をリリースしました。

 一発目の作品が シカゴのバンドのものではなかったことからもわかるように、2人は最初から広い視 野をもっていたのですな。第2弾としてニュージーランドのダダマーを。その後もジ ェサミーン(シアトル)、アンプ(イギリス)、そしてロウ(ミネソタ)、ゴッドス ピード・ユー・ブラック・エンペラー!(カナダ)などなど、他国・他州のバンドを つぎつぎとリリース。シカゴのバンドはほとんど見当たらないわけです。きちんと己 の立ち位置を見極めている頼もしいレーベルなのです。 そして、やはりここの特色といえば、〈サイケデリック&トラディショナル〉に長けている点でしょうか?エレクトロニカ~エクスペリメンタル系全盛の昨今ですが 、とくにこのレーベルの展開は60~70年代の雰囲気がリアルに跳ね返っているような 気がします。厳かでありながらアシッド感もた~っぷり感じられるし……。また近い 年代でいえば、80年代のUKシーン──スペースメン3、ループなんかにも確実にリンクしていると思います。まさに〈温故知新〉型。とくにここ2~3年の好調ぶりはホントにやばいので、ぜひチェックを。