上で述べたような特性と本誌の性質上、ここでは最新の2ステップ・ヒットを取り上げることはできませんが(いまスピンされている曲が正規盤になったとしてもずっと後だし)、R&Bやヒップホップのガラージ・ミックスはもう〈定番〉です。その音像も、ニュー・スクール・ブレイクスにより接近したものから、トランシーなものまでさまざま。とくにシティー・ハイ“What Would You Do?”のX・メン・リミックスは、スティール・パンふうのウワモノを加えたトロピカル・ステップで、最近の白眉でした。また、アーキテクツがガービッジをリミックスするなど、ロック系にもその食指は伸び始めていますよ! ミスティークやリバティーなどがバランス良く支持を集め、ヴィクトリア・ベッカムらのチャート・バスターもUKガラージに取り組む一方で、本来の現場から勝ち上がってきた叩き上げ連中にはそれ以上の勢いがあります。ソー・ソリッド・クルーのブレイク以降、同じようなヒップホップ的アティテュードをもったクルーが続発しているのが現状です。オリジナルの歌モノも良品が次々生まれ出て、層の厚さを思い知らされるばかりであります。 そして日本の状況ですが、左コラムで紹介した〈jupiter step〉を手掛けたSethの MOTIVAの活躍がめざましく、シックとm-floそれぞれのリミックス・アルバムにおいてガラージ・ミックスを手掛けているのが光ります(後者にはUKの新鋭デ・ナーダも参加)。TakuはK.“最後のサイダー”でキュートなポップ・ステップを聴かせてくれたばかりですが、大沢伸一もMISIA相手に久々のキュート・ステッピン。『cheers!』からのシングルが本場UKでも多くのDJに愛されたajapaiは、平井堅のリミックスや嶋野百恵のプロデュースなどに引っ張りだこ。日本に関しては、オリジナル楽曲がもっともっと登場してくれることを待つばかりですな。来年あたり……という噂も!?
アリーヤ“More Than A Woman”(Virgin)
シティー・ハイ“What Would You Do?”(Booga Basement/Interscope)
ダイド“Hunter”(Cheeky/Arista)
ジェニファー・ロペス“I'm Real”(Epic)
2ステップ・リミックスを含む各界のシングル
ミスティーク“One Night Stand”(Telstar)
ヴィクトリア・ベッカム“Not Such An Innocent Girl(Virgin)
ニティン・ソウニー“Sunset”(V2)
各方面からのアプローチ
ソー・ソリッド・クルー“21 Second”(Relentless)
ジニアス・クルー“Course Bruv”(Kronik)
デ・ナーダ“Love You Anyway”(Wlidstar)
ディオンヌ・ラキーム“Sweeter Than Wine”(Pure Silk)
今年上半期に正規盤が出たヒット・チューン
和製2ステップ・ミックスを含むアルバム