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Perfume、約4年ぶりの全国アリーナ・ツアー「Perfume 9th Tour 2022 “PLASMA”」さいたまスーパーアリーナ公演のライヴ・レポートが到着

Perfume
Photo by 上山陽介

Perfumeがオリジナル・アルバム『PLASMA』を携えて、約4年ぶりに全国9都市を巡るアリーナ・ツアー「Perfume 9th Tour 2022 “PLASMA”」が、8月20日より東京有明アリーナの開業を記念したオープニング・シリーズとしてスタートし、11月6日に北海道の北海きたえーるにて千秋楽を迎えた。

コロナ禍を経ての初めての全国アリーナー・ツアーとなった本ツアーのステージングは、生身のPerfumeとしての存在感が中心に据えられ、それをテクノロジーが拡張する、そしてコロナ禍に失われた人と人との絆を取り戻すような温かみのあるプロダクションとなった。

このたび、本ツアーの10月30日 さいたまスーパーアリーナ公演のライヴ・レポートが到着した。

 

純白に始まり漆黒に終わる。色の両極でSTART/ENDをピンされた有限の時間の中で、3人はフル・チャージのエネルギーを放出。自由を謳歌する生命の律動が、まばゆい色彩が、大きなライヴ空間を舞った。凛と立つPerfumeは、個体でも液体でも気体でもないまさに第4の物質状態「PLASMA」。時代にどうしようもなく疲弊した観客の心に溶け込み、きっと夢じゃないと思える美しい未来を見せてくれた。

4年ぶりのアルバム『PLASMA』を携えた「Perfume 9th Tour 2022 “PLASMA”」は、8月から全国を回り、11月5、6日の北海道公演で完結。「ライヴが大好き」なPerfumeにとって、ここ数年は大きな試練だったが、それでも止まることなく「Reframe Tour 2021」、「Perfume LIVE 2021 [polygon wave]」、「Perfume LIVE 2022 [polygon wave]」と、開催可能な演目を立て、果敢に取り組んできた。その飽くなき探求が次へのプロトタイプを生み、「PLASMA」ツアーで見事に深化。最大の見所は、演者として磨き抜かれた生身の3人そのものだ。演出に関わるすべてがその一点に集約されていた。MCであ~ちゃんが「デジタルなことも人の手が作ってる。セットも人力で動かしてる。温度のある有機的な「PLASMA」の世界を想像した」と語っていたが、まさにそこを感じるステージだった。ここでは10月30日のさいたまスーパーアリーナの模様をお届けする。

会場の長辺いっぱいに長く伸びたステージは、本人たちが「みんなをより近くに感じたい」と望み、360度を客席に囲まれた全方位仕様。その中央に位置する大きな円形ステージ上方には、同じサイズのライトリングがあり、他はすべて白い布で覆われていた。重低音と共にその全体が神秘的に染まり、深海か宇宙空間かというような呼吸音が。すると、ライトリングが上昇。“Plasma”の衝撃音で白い布が取り払われると、まさに今、地上に降り立とうとする3人がゴンドラに乗って輝いていた。いきなりの生身。そして、純白の衣装。何も飾らない、何も怖くない、何色に染められてもいい。そんな潔さを象徴するようなオープニングだ。

一瞬のブラックアウトを挟んで“Flow”からパフォーマンスがスタート。これまで何度も全方位を経験してきている3人の姿は、後ろからでも横からでも美しい。正面からだけじゃないことが、むしろ嬉しいくらいだ。“ポリゴンウェイヴ”、“再生”と、まずはビビッドな光の中で躍動するPerfumeを見せてくれた。「3人合わせてPerfumeです!」の挨拶に続くMCでは、「生きるヒントとなるアルバムを共有できるのが嬉しい」とのっち。「上から出てきたのビックリした? あ~ちゃんが「空飛びたい」と言ったら、MIKIKO先生がそういう演出を考えてくれました」とかしゆか。「ライヴを続けていくと決めました。この空間を一緒に作ることは何物にも代えがたい体験。更新していけたらなと思います」とあ~ちゃん。ツアーに寄せる3人の特別な思いを、観客も心から受け取った。

にわかに響いた雨のSEを合図に会場の光量が絞りこまれると、天の川のような青いイルミネーションと共に“Drive'n The Rain”。新境地のメランコリックなナンバーだ。ディム・ライトの中で浮かび上がる大人っぽいソロ・ダンスにグッと惹きつけられる。“ハテナビト”は長いステージの三方に分かれて、“ナチュラルに恋して”は3人まとまって移動しながら、みんなのそばに行きたいという気持ちがダイレクトに伝わってくる。微妙に湾曲する花道をハイヒールの早足で移動する姿には密かにハラハラするが、そこはもうプロ中のプロ。3人は何事もないようにお互いの距離を調整しながら楽しそうに動き、踊った。鉄壁のチームワークはもう本能に組み込まれているのだろう。

中盤、再び光量が絞られると、大きなライトリングのぐるりに沿って円形に張られたシアー・スクリーンがストンと降りてきた。センター・ステージが円柱状のいわゆる蚊帳に囲まれた状態。そこに回り映る3人の「始まる」の声で“∞ループ”が始まった。これまでのライヴでお馴染みのアイコンの投影に幻惑されていると、いつしかスクリーンの向こうには真紅の衣装を身に纏った3人が。一瞬リアルかバーチャルかわからない。そこから始まった“Spinning World”は、息を飲むほど魅惑的な時間だった。幻燈のような映像とその奥に透けて見える生身の3人のダンスとが醸すのは、深くて、滑らかで、柔らかなハーモニー。振付/演出のMIKIKOいわくの「身体を楽器にして奏でるダンス」を完璧に体現する今の彼女たちの魅力を、Perfumeの相棒とでも言うべきデジタル技術でどう伝えるか。そこを掘り下げ尽くしたに違いない実にふくよかな表現だ。それは、愛を持って経験を積み上げてきたチーム Perfumeが出したひとつの答えにも思えた。

声の出せない「P.T.A.」のコーナーもジェスチャーで大盛り上がり。そして、アゲアゲ&ド派手な“Party Maker”からラストスパートに向かった。高揚感溢れる日替わりナンバー(この日は“エレクトロ・ワールド”)に続く初期の人気曲“Puppy love”では、定番の「上下上上、下上下下」という振りに筆者も参加。曲に合わせてただ一緒に腕を振っているだけなのに、自分でも驚くほど滂沱の涙。なぜ? でも、たぶん理屈じゃない。こんなにも楽しい時間をくれる3人を、会場中が心底信じているのがわかる。その温かさが、ただただ嬉しいのだ。肌感覚で交わし合う信頼。それこそがPerfumeライヴの醍醐味なのかも。Perfumeは進んでいくことを決めたのだ、と改めて思う。無数の星が散りばめられた“STAR TRAIN”の「いつだって今が 常にスタートライン」は、この時代を生きる人々へのエールとなって響いた。

“さよならプラスティックワールド”を歌い終えた3人は、迎えにきたゴンドラに乗り込み、「See you at the next stage」という言葉を残して去った。やがてステージは漆黒に。鮮やかな一夜の夢が終わった。でも、決して闇が訪れたわけじゃない。目を閉じて思えば、いつだって夢は見られる。その約束の目印のように、漆黒のステージには「PLASMA」色のツアー・アイコンが光っていた。

(文/藤井美保)

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Photo by 上山陽介

 

▼リリース情報
Perfume
Blu-ray&DVD
『Perfume LIVE 2021 [polygon wave]』
12月24日(土)リリース

■Blu-ray



■DVD



■特典あり
※内容未定
※特典満了次第終了とさせていただきます。

 

▼CM情報
ワコール「Wing」新CM「マッチミーブラ ウェルアップ ヌードよりここちいい篇」
CMソング:Perfume “ハテナビト”

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カテゴリ : タワーレコード オンライン ニュース

掲載: 2022年11月10日 11:30