ジャングル・ビートで世界をロックさせた、ボ・ディドリーが逝く
6月2日、特注の箱形ギターで親しまれたロックンロールのパイオニアのひとり、ボ・ディドリーが心臓麻痺のためにフロリダ州の自宅で亡くなった。享年79歳。晩年はライヴ・パフォーマンスを中心に活動していたものの、昨年8月に心臓疾患で緊急入院して以降は、リハビリ生活を続けていたという。
28年にミシシッピ州マッコムで生まれたボ・ディドリー(本名エラス・オーツ・ベイツ)は、55年にチェス傘下のレーベル=チェッカーと契約し、デビュー・シングルの“Bo Diddley”がR&Bチャートの1位を獲得して脚光を浴びている。ブルースやゴスペルの影響をエコーやディストーションの効いたラウドなギター・サウンドに折衷した彼の音楽スタイルは画期的なもので、50年代から60年代にかけて、“Before You Accuse Me”などのヒットを放ち、チャック・ベリーやリトル・リチャードと共にロックンロールのフォーマットを完成させるのに寄与した。この時期に彼が編み出したパーカッシヴで泥臭いリズム・アレンジは〈ボ・ディドリー・ビート〉〈ジャングル・ビート〉と呼ばれて一世を風靡。ローリング・ストーンズやキンクス、ザ・フーといった60年代のブリティッシュ・ビート勢をはじめ、エリック・クラプトンやデヴィッド・ボウイ、U2、スミス、ジョージ・マイケル、プライマル・スクリーム、近年のホワイト・ストライプスに至るまで、無数のアーティストに採り入れられている。日本でも大滝詠一や山下達郎、RCサクセションらがジャングル・ビートを採用し、またBO GUMBOSの名前の由来になったことでも知られていた。
彼の死を受け、BB・キングは〈いっしょに演奏した時は楽しかった。ファンはひどく悲しむだろう。しかし、彼の伝説は永遠に生き続けるんだ〉とコメントを寄せている。ご冥福をお祈りします。(レポート/bounce)







