【bounce.com厳選! 一押し再発】「Hotwax」の人気連載から生まれた70年代〈やさぐれ歌謡〉の世界!!

〈和モノ〉、なんて言葉もすっかりお馴染みになったいま、新たなキーワードが〈やさぐれ〉。70年代の乾いた空気とニヒリズムを宿したその歌は、まさにアウトローなカッコ良さなのです。そもそもは、ロックと歌謡曲の雑誌「Hotwax」の人気連載から生まれた〈やさぐれ歌謡〉の世界。そのやさぐれた歌声が満載のコンピレーションが、2枚同時リリースされました。

　女性シンガー編『やさぐれ歌謡最前線／みなしごのブルース』は、桃井かおり“尻軽女のブルース”、秋吉久美子“エリカの花散るとき”といった70年代を代表する女優たちのナンバーや、「キルビル」でもお馴染み梶芽衣子“怨み節”、ランナウェイズも真っ青なガールズ“野良猫”など、名だたるスケバンたちが勢揃い。なかでもアワネ麻里が歌う“みなしごのブルース”は、筒見京平の底力を思わせる名曲です。

　男性シンガー編『やさぐれ歌謡／男の対決』は、勝新太郎のレゲエ歌謡“浮遊の夏”に始まって、渡哲也“くちなしの花”、梅宮辰夫“ないものねだり”、赤木圭一郎“霧笛が俺を呼んでいる”など、やさぐれVIPたちが勢揃い。さらに、小林旭×大滝詠一“熱き心に”の〈ウォール・オブ・アウトロー〉サウンドに、天知茂“昭和ブルース”の殺気にシビレまくりです。若山富三郎“お前死ぬのかよ”なんて曲名にも、ドキドキさせられますね。

　またこの2作と同時に、東映が誇るやさぐれ映画、「女番長」シリーズの挿入歌や、スコアを集めた『やさぐれ歌謡最前線／女番長ゲリラ』もリリース。杉本美樹が啖呵を切る“女番長流れ者”などヴォーカル曲を散りばめつつ、和製レアグルーヴなスコアが満載です。歌謡曲って、こんなにカッコ良かったんですね。このさい、3枚まとめて聴いて、部屋でひとり、朝っぱらからやさぐれてみませんか?＊村尾泰郎