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インタビュー

LONG REVIEW――シグナレス 『NO SIGNAL』

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2011年02月02日 18:01

更新: 2011年02月02日 18:51

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シグナレス_J

ドリーミーでサイケデリック、ローファイがかった音像がグローファイ/チルウェイヴを直接的に連想させるオープニング・ナンバー“y.s.s.o.”を初めて聴いたときは、正直やや意外な感じがした。ゆーきゃんとあらかじめ決められた恋人たちへの池永正二といえば共に関西アンダーグラウンド・シーンの要人であり、海外の最新トレンドとすぐにはイメージが結び付かなかったのだ。

とはいえ、いまでこそ爆音のライヴ・バンドとして名を馳せているあら恋は、元々はトラックメイカーの池永がソロ・ユニットとしてスタートさせたバンド。また、ゆーきゃんはフォークのイメージが強いが、実は現場主義で知られる熱烈な音楽ファン。長く〈現場〉に身を置いてきた両者ともシーンの流れにはすごく敏感だろうし、そんな二人が作り上げた作品に時代性が備わっていることは、むしろ必然なのかもしれない。

当然、音そのものだけでなく、感覚の面でも時代性が共有されていて、本作からはどこかしら〈エスケーピズム〉が感じられるように思う。映像を喚起するシネマティックな池永のトラックも、言葉に余白を残してイメージを広げるゆーきゃんの歌詞にしても、〈ここではないどこか〉への逃避願望が透けて見えるような気がする。これはおそらく、大阪/京都と東京を行き来してきたみずからの体験から来る、〈移動すること〉へのロマンティシズムとメランコリアが根底にあるのではないか。〈いつかは帰っておいでよ 涙の波間を抜けてゆこう〉と歌う“ローカルサーファー”は、そんな2人のテーマ・ソングであるかのようだ。

 

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