INTERVIEW(2)――酔いどれバンドの宣言?
酔いどれバンドの宣言?
インスト・バンドのヴォーカル・ナンバーとなれば、どんなことを歌っているか気になるところ。歌詞について、バリーはこう語る。
「“Mexican Grand Prix”はルークが歌ってるから彼に訊いてみないわからないけど、ヴォコーダーを使った“How To Be A Werewolf”は、ちょっとくだらないことを歌ってるんだ。スチュワート(・ブレスウェイト)がギターを弾いて、俺が住んでいるドイツのアパートの売買契約書を、俺がドイツ語で読み上げているんだ。ドイツ語はそんなにうまくないから、自分がドイツ語で何を言ってるのか全然わかってないんだけどね(笑)」。
とまあ、実に彼ららしい発言。でも、一見ナンセンスなようでいて、そこにはメッセージよりも言葉や音の響きにこだわり、リスナーのイマジネーションを刺激するというモグワイの音楽に対するアプローチが垣間見えたりもする。そして、それは同時に「いつも新作を作る時は緊張するけど、その緊張は心の奥にしまって、できるだけレコーディングを楽しむように心掛けている」という彼らの遊び心でもあるのかもしれない。そういえばアルバム・タイトルも奇妙で何だか意味深だ。
「このタイトルは、ティーンエイジャーの男の子と酒屋の店員の間で起こった出来事から取ったんだ。その若者は酒を買おうとしたんだけど、未成年だったから店員に断られた。それでキレた若者は、店の窓に石を投げ付けながらアルバムのタイトルになったセリフを店員に向けて叫んだのさ。〈アル中(Hardcore)は死なないけど、お前はくたばるぞ!〉ってね。すごくスコットランドらしい話さ」。
ちなみにメンバーはみんなアルコールが大好き。〈METAMORPHOSE〉で来日したときも、「滞在が数日だけだったから、俺の人生で初めて、完全に酔っぱらったままイギリス行きの飛行機に乗り込んだ」とか。ということは、このアルバム・タイトルは、酔いどれバンドの宣言とも言えるかもしれない。つまり、ハードコアなモグワイは死なない、永遠不滅なのだ。結成15年を経て、ますます血気盛ん。そんな彼らから、最後に日本のファンに向けてメッセージを送ってもらおう。
「モグモグモグモグモグモグモグモグ!」。
あれ、今日も飲んでます?
▼モグワイの作品