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インタビュー

行川さをり

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2010年12月27日 12:32

更新: 2010年12月27日 12:48

ソース: intoxicate vol.89 (2010年12月20日発行)

interview & text : 三宅美千代

知性と技とフェティシズムに裏打ちされた極上の官能

『もし、あなたの人生に入ることができるなら』は、行川さをりの言葉の響きやテクスチャーに対する並々ならぬこだわりがつまったアルバムだ。歌い手の声帯から空間に丁寧に置かれた音のひとつひとつ、言葉のひとつひとつの肌ざわりに聴覚をあずける至福と贅沢がある。

ボサノヴァとの出会いは大学時代。「当時はずっと英語で歌っていたので、英語とは異なるポルトガル語の響きが新鮮でした。英語の歌より、ポルトガル語の歌の方が、歌っていて自分の身体のなかの響きが気持ちよかった」

収録曲はヴィニシウス・カントゥアリア、ホーザ・パソス、ギンガ、パスコアールなど玄人好みのブラジル音楽から、谷川俊太郎/賢作、そして芸術家としてリスペクトしているというビョークのナンバーまでじつに多彩だ。デュオで活動している前原孝紀のギター・アレンジも光る。

ポルトガル語、日本語、英語のいずれの曲に対しても、言葉のニュアンスや感触を何よりも大切にしている様子がうかがえる。「いろんな言語にある響きの個性、その言葉を発するだけで醸し出される肌ざわりや雰囲気に興味があって、それを大事にしたい。日本語の歌についても、ブラジル音楽と同じように、語感を楽しんで歌っています」

言葉や音の質感へのこだわりゆえに、レコーディングでは、〈自分の身体のなかの響き〉と〈他者に聴こえる自分の声の響き〉の分離を意識しながら、歌う自分の声を客観的に操作する作業を行なったというのが興味深い。

「録音機にイヤホンを挿して、自分の身体の響きが聞こえない状態で、外の響きだけを聞いて、喉の調整をしていく作業をしたんですね。どうしても身体の響きが自分に聞こえてしまうので、自分では太い音が出ていると思っていても、実際にはそうでもなかったりする。一番時間がかかったのは、ギンガのギター曲から旋律をとって歌を作った《シェイオ・ヂ・デドス》です。その場でプレイバックしながら、なるべく客観的に聞いて、言葉(スキャット)の選択、声帯の使い方や発声、口のなかの響きを変えつつ、歌い方をつくっていきました」

大学時代に建築を学んでいた行川は、音についてもつねに空間との関わりにおいてとらえていると語る。「空間が醸し出している雰囲気、そこに置かれているモノが醸し出しているものの感覚で音を出していきたい」

空間の気配に耳を傾け、応答を返しながら、声はその佇まいを少しずつ変容させていく。あるときは揺らめきやざらつきを増して、またあるときはコケティッシュに。知性と艶めきを帯びた声は肉厚のビロード地のように鼓膜に纏いつき、静かな官能へと誘う。

Live Info
12/29(水)&1/9(日)BAR PORTO(日暮里)1st  19:45/ 2nd  21:00
2/18(金)表参道 プラッサオンゼ
http://www.namekawasawori.com/

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