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インタビュー

LONG REVIEW――DOOBEEIS 『DOOBEEIS』

 

DOOBEEIS_J

あちこちのクラブに手が入り、東京都ではマンガ/アニメ界を揺さぶる青少年健全育成条例の改正案が委員会で可決……サブカルチャーにジワジワとにじり寄る〈粛清〉は、何もいまに始まったものでもない。けれど、そういう形でますます世知辛く押し寄せる波が、そこに生きる糧や術を見い出す者の身を切っていく。イカシた音楽の向こうにある〈見たこともないとこに行きたい〉(“Crazy Night”)。ただそれだけで始まっただろうDOOBEEISも、そことまったく無縁なサイケデリックな夢ではいられない。そう、〈世間知らずのマリアッチ〉と歌う彼らの音楽でさえ。

〈あのイカレた夜取り戻せ〉(“Crazy Night”)――2人の口から、そして音からあふれてくるイメージの先にふとついて出たリリックは、彼らの音楽を現実とリンクさせる。それでも、TENGOKU PLAN WORLDで聴かせたドープな世界への傾斜を、足取り軽く表情豊かなサンプリング・ビーツへと転化させたHIDENKAがほぼ全編を手掛けたトラックは、彼とGOUKIのラップをぎりぎりファンタジーに押し止めているといえるのかも。唯一の客演となるCHIYORIを迎えた“Water Room”もまた、DJ TSUNEOのプロデュースのもと、とりわけ甘美なテイストを湛えた曲。それはアルバムの彩りという以上に麗しくドリーミーだ。空想と現実の裂け目にあるDOOBEEISの音楽の一端を窺わせる曲だろう。

 

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2010年12月22日 18:00

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