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インタビュー

INTERVIEW(4)――景色を言葉にして伝える

 

景色を言葉にして伝える

 

DOOBEEIS_A1

——ところで、例えば〈DOOBEEISをカテゴライズする〉なんて発想はお二人にはありませんよね?

GOUKI「そうですね……カテゴライズするなら、たぶん〈DOOBEEIS〉にしかならないと思います」

——では、そこをあえて訊かせてください。いろんなエッセンスを引っ張ってきてヒップホップにしたりダブにしたり……そういう〈音的な着地点〉ってあるじゃないですか? DOOBEEISの音楽において、それを言葉にするのはやはり難しいですか?

HIDENKA「まあ、そういう意味ならやっぱり〈ヒップホップ〉ですかね。スタイルとか手段、手法の根底にヒップホップがあって、そこからブッ壊した感じなんで。結局作り方はヒップホップですよね。それか……〈レコーディング〉か(笑)。そのどちらかですね」

——今作における〈ラップ〉はどんな位置付けですか? インストゥルメンタルに近いような曲も、しっかりとラップが主張している曲も混在していますよね?

HIDENKA「音楽でいろんな世界に連れて行くっていう意味では言葉が要らなかったりもするし、そういう曲では音だけで何らかの情景を想像させることを狙ってますね」

GOUKI「言葉の意味は、伝えたいことだったりメッセージというよりも、例えば自分たちが見てきた景色を表現しているようなものが結構多いですね。もちろんヒップホップの定義に沿って韻を踏みながら、俺らなりの意味を持たせて表現してる。〈こういう気持ちを誰かに伝えたい〉みたいな曲も今後は作っていきたいなっていう気持ちもあるんですけど、今回のDOOBEEISのアルバムでは、あくまでも情景から浮かび上がってきた言葉を綴っている曲が多いですね。何かを押し付けたり、〈こうしようぜ!〉って言ったりするより、景色を言葉にして伝えるっていう」

——ちなみに、今回のアルバムを制作されるうえでお二人が影響されたモノや事象は?

GOUKI「俺はやっぱり映画かな。音楽を聴きながら街を歩いてると、その景色の見え方が音楽によって変わる瞬間っていうのが映画みたいだなってずっと思っていて。またその場所に行った時にその音を思い出したりとか、その音を聴いた時にその場所、その場面を思い出したりするし。今回の作品では、俺は映画がいちばん大きかったですね」

HIDENKA「うーん、俺は難しいなー。影響はされてるんだろうけど、結構無意識なところで。意識すると何もなくなっちゃうんで、とにかく作りまくって作りまくって、自分でもどうなるかわからないようなものに挑戦したかった。そういう重圧を押しのけるようなポジティヴなスピリットに影響を受けてるのかもしれないですね」

——それでは今回のアルバムに限らずとも、制作において重視していることは何でしょう?

HIDENKA「ミックスですかね。やっぱり音源っていうのは俺らがいない所で、人の家のスピーカーで鳴らすじゃないですか? だから、どこで鳴っても自分らが聴かせたい周波数と同じような音が出るようにした。マスタリングももちろんですけど、そういう部分にもすごく力を入れましたね。俺たちの使ってるのとは違うオーディオじゃ全然俺たちのやりたい音楽は表現できてなかった、なんてこともあったりするんで。そこは大事にしたいですね」

GOUKI「ミックスに関しては、お互いに意見を出し合いながら、最終的にはHIDENKAに落とし込んでもらったんですけど、俺の場合はリリックを書く時の視点も重視しました。普段の会話や目にするもの……いまの時代はいろんなものがあるじゃないですか? そのなかで自分が感覚的にいいと思ったものを追求して、〈こういう言葉を使ったほうがおもしろい〉とか〈これ全然ヒップホップと関係ねぇけど、言ってることはヒップホップだな〉とか。そういったものを自分なりにディグって発見する感覚を重視していかなきゃいけないと思ってましたね」

——なるほど。最後に今回のアルバムを完成させてみて、改めて見えてきた今後の動きについては?

HIDENKA「いや、もう、続けるのみですね。道はどんどん開いてきてるし、いままで見えてなかった道もすごく見えた。あとは死ぬまで、挑戦を続けていくだけですね」

GOUKI「今回のアルバムを、郡山で活動してる二人組の兄弟バンドとダビーに再構築した作品(DOOBEEIS meets BooT『9th Dope』)を2月11日にリリースするんですけど、それも含めて、当面はライヴでいろんな所に俺たちの音楽やヴァイブスを伝えに行きたいなって思いますね。ライヴは一瞬、その場でしか味わえないものなんで、それを如何に濃いものにしていくかっていう部分でも挑戦していきたい。どれだけ衝撃を喰らわせたり感動させられたりするかっていう勝負だと思うんで。そしてそこでまたいろんな人と知り合って、お互いに刺激して新しい音楽が生まれるなら、そんなに楽しいことはないですからね」

 

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2010年12月22日 18:00

インタヴュー・文/吉橋和宏

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