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インタビュー

INTERVIEW(3)―― 一瞬が永遠に感じるエナジー

 

一瞬が永遠に感じるエナジー

 

――アルバムの話も訊きたいと思うんですけれども。ねごとの音楽って、エッジの鋭いラウドな感じと空間のふわっと広がる感じがうまく共存していると思うんです。勢いとポップさの両方を共存させるのを自然体でできているというか。この6曲を聴いても、いろんな方向に広がる可能性を持っていますよね。枠組みを決めてない感じもする。そういう、いろんなことのできるバンドになろう意識はありました?

蒼山「なろうっていう意識は特になかったです。やってるうちに、いろいろやりたくなっていったんですよね。で、やっていったらいろんなことをやれるという」

――では、この『Hello! "Z"』に入っている6曲は、ねごとというバンドのどういう面を切り取ったものでしょう?

蒼山「1枚目なんで、紹介できる一枚にしたいと思いました。この6曲はほとんどの曲が“ループ”を作った後に続々と出来た曲で、時期は古めなんです。で、ライヴでもずっとやってきた曲だし、ねごとを紹介するにはいいんじゃないかと思って。ただ、2曲目の“透き通る衝動”という曲だけ、今年に入って作った曲で。これだけは聴いてくれる人を意識して作った曲で、曲に対する意識が違うんです。そういう意味で、結成当時のねごともいまのねごとも入っている感じです」

――歌詞の面でも、印象的なところがあって。ガールズ・バンドの歌詞だと同世代の女の子が共感するようなメッセージを描くバンドも多いですけれど、ねごとの場合は、それよりも“ワンダーワールド”のように子供がワクワクして遊んでいるような感覚がありますよね。

蒼山「ねごとの場合は演奏が先にあるので、それだけでワクワクするような要素がたくさんあるんですね。インストの段階で世界観もあるし、雰囲気もあるから。元からある曲のワクワク感をもっと魅力的にするために単語を集めて書いてる感じなんです」

――“透き通る衝動”には女性的な視点もありますけれど。

蒼山「でも、元々女の子っぽいことを書こうと思ったことがなくて。“透き通る衝動”でも、演奏を聴いた時に、駆け抜けるような疾走感のある瞬間と、サビでオーロラ色の風景が見えたから、それは絶対書きたいと思って。そこから広げていったところがあるんです。歌詞に〈わたし〉と〈あなた〉がいるからラヴソングと取る人もいるかもしれないし、それはそれでいいんですけれど。ただ、〈瞬間にスパークはじけて あなた以外景色になっていく〉というような歌詞で描きたかったのは、その子にすごく好きな誰かがいたとしたら、そういう時には一瞬が永遠に感じるくらいのエナジーがある。それを書きたかったんですよね」

――ちなみに、バンドを結成した時に、ガールズ・バンドをやろうという意識はありました?

沙田「それが、ないんですよね」

蒼山「組んだら女の子だったっていう感じ(笑)」

――結成した頃にはチャットモンチーもデビューしていたんですよね。

蒼山「聴いて感動してました。〈ガールズ・バンドでこんな格好いい人が現れた!〉って。衝撃的だったのは覚えてますね。実際、同世代でチャットモンチーに影響を受けて女の子同士でバンドを組みだした人は多いと思います。でも、私たちはその頃にはもう結成していたので」

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カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2010年09月22日 18:01

更新: 2010年09月22日 18:19

インタヴュー・文/柴 那典