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インタビュー

iLL(2)

カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2009年08月26日 18:00

更新: 2009年08月26日 18:00

文/岡村詩野

表現方法は違っても自分のホームはそこにある

――つまり、リベラルでいたいと?

「うーん、そうですね。スーパーカーを始めた頃からそういう気持ちでいましたね。自分の価値観が必ずしもすべてではないと思うし、善でもないし、悪に見えるかもしれないしっていう意識はありました。たぶん、自分が小さい頃、テレビの〈トップテン〉みたいなところで流れてるような音楽も受け入れていたし、父親が家でクラシックや演歌をかけていたというのもあって(笑)、いいものはいいとして育ってきたというのも大きいと思います。それをいまさら〈ロック〉という枠に入れられても、そこに〈ロックのルール〉みたいなものがあるんだって思えたし、バンドを始めても〈バンドのルール〉があるんだと思えたりして、なんか窮屈に感じたりはしたんですよね。わかりやすく言うと、ロック・バンドが打ち込みをやっただけで拒絶反応を示す人がいる、みたいな。〈何でもいいんじゃない? いいと思えるものなら〉って小さい頃から思っていたから、自然とバランスをとった真ん中にいたいと思うようになったんじゃないかと思いますね」

―― 一方で、どうしてもバランスが取れない人、というのもいますよね? 取ろうとしても偏ってしまうような人。例えばボアダムズの山塚アイのようなタイプのミュージシャンの作品に対してはどう思います? 羨ましいという気持ちも働くの?
 
「んー、やっぱり自分にはないから惹かれますよね。アイさんとかは、何かいっしょにやりたいという気持ちよりは、ひたすら聴いていたいという感じですし。そこへいくと、自分は人から見たら八方美人的な立ち位置にいるのかもしれないから(笑)、やっぱり誤解されることはあると思うんですよ。例えば、エレクトロニック(な音楽)をやってると〈ロックには興味なくなったんですか?〉とかっていまだに訊かれるんですけど、〈いや、そうじゃないんです〉とかって、ひとつひとつ説明するのが大変ではありますよね(笑)」

――うん。ハッキリとわかりやすいほうが誤解は少ないよね。ボアダムズのライヴには〈ノッてるかー!?〉みたいなノリを期待するファンはまず行かないし。

「ね。ただ、俺は聴き手との距離感を自分で取りたいんですよ。自分が右と言えば、ファンも右っていうのはイヤっていうか。少なくとも俺の好きな音楽は、ライヴに行っても、ファンはバラッバラ(笑)。もちろん、〈ノッてるかー? イエー!〉みたいなのって、ちょっと羨ましいところはあるんだけど、やっぱり自分にはやれないわ、って思うんですよね(笑)」

――(笑)そういう〈バランスを取る感覚〉が普通として育ってきた、ということですね。

「うん。あとは、ウチは神道だったんですけど、ウチでやってる儀式みたいなのはどこでもやってるんだろうと思ってたら、そんなことはなかったりして。しかも、母方は普通の仏教で、お葬式のやり方も違う。こんなに流儀が違うんだってことを小さい頃に知ったというのは大きかったかな。いろんな価値観を見てきたというか。そうそう、しかも僕が行ってた幼稚園はカトリックだったし(笑)」

――超柔軟というか、脈絡ないというか(笑)。

「ねえ。だから、小さい頃から〈神様〉というのにはすごく敏感だったというか意識していたというか。だって、神道にも仏教にもカトリックにもそれぞれに神様がいるわけでしょ? 〈バッティングしないのかな? それってどうなの?〉って小さい頃は思っていたりしてたかな。だって、幼稚園ではキリスト様を拝んでいて、家に帰ったらまた家族が別の神様を拝んでいるわけでしょ。でも、〈神様の前に、人間でしょ?〉という思いはありましたね。それに、そうやっていろんな考え方があって、自分には自分のやり方があるというのを知ったんですよね」

――なるほど。確かにiLLの音楽を聴くと、今回のアルバムもそうだけど、どこを切ってもデヴィッド・ボウイやジーザス&メリー・チェインやヴェルヴェット・アンダーグラウンドの影響が見えてくる。でも、いろんなスタイルを受け入れつつも、自分の居場所はしっかりと持っていますよね。

「うん、出発点は変わらないという。表現方法は違っても自分のホームはそこにあるっていう思いは持っていたいし」

――なぜ、その〈ホーム〉がいまなおヴェルヴェッツだったりするのかな?

「うーん、まあ、ビートルズにはビートルズのマニアがいて、ローリング・ストーンズにもそれに近いマニアがいる。若造がそう簡単に口出しできないというような雰囲気があったわけだけど、ヴェルヴェッツだけないな、と(笑)」

――いや、あるよ。バナナのアセテート盤を持ってないとヤバい、みたいな(笑)。

「(笑)いや、あるんだろうけど、ちょっと雰囲気が違うというか。まあ、最初はデヴィッド・ボウイで、そこからルー・リードに行って、ヴェルヴェッツ聴いて、〈あ、これは普通に楽しめる〉と思えたんですよね。普通っていうか、ルールがなかった。ボウイなんてアルバムごとにいろんなことをやってるし」

▼iLLのアルバム3作品を紹介

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