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インタビュー

なぜ世界はデヴィッド・シーテックから目が離せないのか? 彼の外仕事を通じてその謎に迫ろう!

 ゴツい黒人に囲まれてひとり黙々とギターを弾く白人のメガネ君、それがデヴィッド・シーテック(現在36歳)だ。彼はストロークスがデビューした2001年にTVオン・ザ・レディオを本格始動させ、それと並行してライアーズやセレブレーションのプロデュースを行ってきたがんばり屋さん。で、徐々に盛り上がりを見せていたNY地下シーンのキーパーソンとして一部のコア・ファンから熱烈な指示を集め、ここ数年間のうちにデヴィッド・ボウイやトレント・レズナー(ナイン・インチ・ネイルズの限定シングルでリミックスを依頼)も太鼓判を押すほど、プロデューサー/リミキサーとしてめきめきと頭角を現してきたのである。とはいえ、引き受ける仕事をある程度絞るのが彼流儀(だからこそ1つ1つのクォリティーが高いことで定評があるのだが……)。ということで、右項ではそんなデヴィッドの裏方スキルを堪能できる作品を紹介していこう。ちなみに、だいぶ前から話題に上がっていた最新ワーク=マッシヴ・アタックの新作の進捗状況はというと……どうやらいままさに大詰め段階な模様。というのも、現在彼は『Dear Science』のプロモーション活動を放棄して(すべてトゥンデに丸投げ!)スタジオにこもりっぱなしとのことで、業界内では〈いよいよ完成か?〉と騒がれているのだ。う~ん、根っからの職人気質なんすね。


LIARS 『They Threw Us All In A Trench And Stuck A Monument On Top』 Blast First(2002)
初めてアルバム1枚をプロデュースした作品。ジャンク~ノーウェイヴ臭を強烈に漂わせたポスト・パンクは、初期TVOTRにも通じるもので、つまり各界から好評を得た本盤はデヴィッドなくして生まれ得なかったってこと!?

YEAH YEAH YEAHS 『Fever To Tell』 Polydor(2003)
彼氏(ライアーズのアンガス)の成功に嫉妬してか、カレン・Oも“Pin”のプロデュースを依頼。エロ詞映えする軽快なメロと破天荒なギターで、一躍ガレージ・パンクのアンセムに!

THE BUMBLEBEEZ 81 『The Printz』 Moduler(2004)
ミクスチャー・バンドのデビュー・シングル“Pony Ride”をバンド名義でリミックス。N.E.R.D.っぽいキャッチーなロック・チューンを、デヴィッド印のエクスペリメンタルなギター音で過激に調理してみせた。

BECK 『The Information Deluxe Edition』 Geffen(2006)
早い段階からデヴィッドに目を付けていたベック(上掲の“Pony Ride”もベタ褒め!)は、このデラックス・エディションで念願叶って“Dark Star”のリミックスを任せることに。ベース・ラインの音量を上げてフリー・ジャズに仕立てるなんて、センス良すぎ!

LEE "SCRATCH" PERRY 『Panic In Babylon』 Narnack(2006)
表題曲のドロドロなルーツ・ロック・レゲエから一転、デヴィッド製のリミックスは、イントロのアフリカン・ドラムをスピードアップさせたパッキパキのトライバルなハウス・チューンに。US盤のみ収録なので気をつけて!


THE KNIFE 『Silent Shout Deluxe Edition』 Mute(2007)
ストックホルム発の兄妹ユニットから出されたお題は、ダークなエレクトロニカ・チューン“Marble House”のリミックス。コイツをデヴィッドはストリングスやオルガンを投入してゴシップ・オペラ調へとドレスアップ!!

フルカワミキ 『Candy Girl』 BMG JAPAN(2008)
日本人アーティストとの初仕事だからって、同シングルのタイトル曲にそこまで琴の音をフィーチャーしなくても……。まぁ、ビョークが好みそうなリミックスに仕上がっているので、さぞかしミキちゃんも喜んだことでしょう。

FOALS 『Untidotes』 Warner UK(2008)
〈ポスト・クラクソンズ〉なド新人バンドのデビュー作を丸々プロデュース。もちろん、凝り性のデヴィッドがただのニューレイヴ盤に仕上げるわけもなく、マブダチのアンティバラスを呼びつけてアフリカン・フレイヴァーを加味するなど、ニクイくらいにヒネリを利かせた名仕事だ。

SCARLETT JOHANSSON 『Anywhere I Lay My Head』 Rhino(2008)
彼がプロデュースした人気女優のシンガー・デビュー作は、憧れのデヴィッド・ボウイや親友のニック・ジナー(ヤー・ヤー・ヤーズ)にもお手伝いしてもらったトム・ウェイツのカヴァー・アルバム。抑揚のない低血圧ヴォイスを、モヤモヤしたエコーでダル~くおもてなししている。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年10月09日 19:00

更新: 2008年12月19日 14:55

ソース: 『bounce』 303号(2008/9/25)

文/山西 絵美

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