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インタビュー

『Love Behind The Melody』から滲み出る王道のソウル感覚

 新作でのテンプテーションズ“My Girl”の引用というベタなオールド・スクール感の打ち出しもソウル愛を感じさせるが、その振る舞い自体からソウルの鼓動を伝えてくるのがラヒームだ。特にファルセットで官能的な歌を聴かせる点は70年代以降のマーヴィン・ゲイやアイズレー・ブラザーズ(のロナルド)と重なり、そのあたりは前作に関与したドゥウェレや、新作に客演したビッグ・ボーイの盟友でもあるスリーピー・ブラウンが放つ匂いとも共通する。また、前作でネタ使いしていたアース・ウィンド&ファイア“Can't Hide Love”はディアンジェロやビラルも取り上げていたもので、いずれもプリンスを愛する歌い手たちがEW&Fやマーヴィンに回帰していく様子は興味深い。さらに、スライ的なヒッピー性を強調しながら極めて真っ当にソウルの王道を行く姿はトニ・トニ・トニにも近く、彼らがネタ使いしたアル・グリーン“Love And Happiness”での艶かしく情熱的な歌にもラヒームとの接点を見い出すことができよう。ラヒームもまた〈ソウルの申し子〉なのである。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年02月14日 15:00

更新: 2008年02月14日 17:50

ソース: 『bounce』 295号(2008/1/25)

文/林 剛