インタビュー

UGK

真の王者はただひとり……なんて誰が決めたんだ!? サード・コーストが生んだ真打ち中の真打ち、ホンモノ中のホンモノがついに地上世界に侵攻してきたぜ!!

行動に移すことが大切なんだ


  南部サウンドの侵攻を無視できなくなった90年代末、嗅覚の鋭いジェイ・Zが“Big Pimpin'”でその力を借り、シーンのトップへと昇り詰めたT.I.が初心を忘れぬために“Front Back”で客演を依頼……と新旧のキングからも一目置かれてきた絶対的な存在、南部のリヴィング・レジェンドなコンビのUGKが完全復活を果たした。リリースが延びに延びていた、実に6年ぶりとなるオリジナル・アルバム『UGK : Underground Kingz』が、ようやく発表されたのだ! ひたすらストイックでハードボイルドな堅いフロウを聴かせるバン・Bと、トラックメイクもこなすファンクネス全開なフロウのピンプC。共にテキサス州ポートアーサー出身の2人から成るこのグループは、〈Underground Kingz〉という名前のとおり、日本では長きに渡ってアンダーグラウンドな存在として一部好事家の間に知られていたのだが、実際の活動歴はかなり長い。

「UGKは90、91年頃から活動を開始したんだ。最初は他にもメンバーがいて、いろんな理由でピンプCと俺で活動し続けることになったんだけど、当時のテキサスにはヒップホップ・シーンなんて存在しないに等しかった。その頃の唯一の音楽発信源ってのがラップ・ア・ロットだったんだ。もちろんDJスクリューとも仲の良い友人だったよ」(バン・B:以下同)。

 2002年にピンプが投獄されたことで活動停止を余儀なくされてしまった彼らだが、その間もバン・Bが孤軍奮闘することでサウス・シーンの地位向上に大きく貢献し、結果的に彼らへのプロップは年を追うごとに高まっていった。

「俺がクールG・ラップやビッグ・ダディ・ケインに影響を受けて尊敬しているように、若い連中も俺たちをリスペクトしてくれてるんだと思う。自分の信念をしっかり持って地元をレペゼンしていたり、自分に正直に生きてるヤツなら、俺はリスペクトするんだ。だからラフィ・タフィ(D4L)からT.I.まで誇りに思ってるよ」。

 しかしシーン全体が盛り上がるにつれて、そのムーヴメントに便乗してくるような生半可な輩も現れてくるし、シーン内でビーフなどのトラブルが発生してくるのも現実だ。ピンプCがサウスにおけるビーフ事情を憂う“Knockin' Doorz Down”を昨年発表したことも記憶に新しい。

「実力は努力の上に生まれるもので、例えばいまカネを稼いでいるヤツで、デビューの頃は才能に恵まれてるとは言い難かった人間なんてたくさんいるよ。でも、みんな努力家という意味では並外れていたはずだ。自分の才能を信じることは大前提だが、家でダラダラして行動を起こさないヤツがどうやって金を稼ぐっていうんだ? 行動に移すことが大切なんだよ。いまでも俺はリスクを恐れずに動き回ってるぜ。どんなに才能に恵まれている人間でも、行動することでしかその才能を開花できないんだよ」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年09月13日 22:00

ソース: 『bounce』 290号(2007/8/25)

文/Masso 187um