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インタビュー

色褪せることを知らない、未来世紀ブラジルの音楽家たち その2

カエターノ・ヴェローゾ
昨年、64歳にしてなお前進&進化する姿勢を示した実験的で過激なロック・アルバム『Ce』(Mercury)をリリース。今作をプロデュースしたのがペドロ・サーと息子のモレーノだった。ということで、〈+2〉ユニットの前衛性や独自のポップさはカエターノ譲り。で、そのカエターノはアンリ・サルヴァドールの〈僕の島で〉を81年作『Outras Palavaras』(Mercury)にてカヴァー。アンリの『Reverence』では気が遠くなりそうに美しく優雅なデュエットを聴かせてくれるが、ジャキス・モレレンバウムによる瀟洒で優雅なストリングスをバックに、カエターノがダンディーなラテン男に扮した通称〈粋な男ライヴ〉――96年リリースのライヴ盤『Fina Estampa En Vivo』(Mercury)も、粋な男の極上盤として『Reverence』と併せて聴いておきたいところ。


アントニオ・カルロス・ジョビン
ボサノヴァの生みの親にしてブラジル音楽の大巨匠、そして20世紀を代表する作曲家。akikoは『Vida』にて“Chega De Saudade(想いあふれて)”を、アンリは『Reverence』にて“Eu Sei Que Vou Te Amar(あなたを愛してしまう)”を、とそれぞれジョビン・ナンバーをカヴァー。87年にジョビンがジャキスらと行ったライヴの模様を収めた名盤『Inedito』(Biscoito Fino)でそれらの曲を聴くことができる。

ジルベルト・ジル
カエターノと並ぶMPBの大御所。『Reverence』では上記のジョビン作による美しいバラードを、ドリーミーでロマンティックなアンリとのデュエットで聴かせてくれる。また、akikoは『Vida』にてジルの超絶グルーヴ名曲“Roda”(ベスト盤『Fa-vourites』(Wrasse)にも収録)を軽やかにカヴァー。

ジャキス・モレレンバウム
アンリが『Reverence』のサウンド・プロデュースをジャキスに託したのは、カエターノのパリ公演で彼のアレンジに感銘を受けたからだとか。晩年のジョビン・バンドのメンバーであり、その後はカエターノの右腕として、また教授のトリオの一角としてもその演奏&アレンジ能力を遺憾なく発揮。ジョビンを敬愛して止まない教授がモレレンバウム夫妻と共にジョビンに捧げた2003年のMorelenbaum2/Sakamoto名義作『A DAY IN NEW YORK』(ワーナー)でも、その類い稀な美の極致を堪能できる。

ジョアン・ドナート
50年代USのクール・ジャズからボサノヴァ、70年代フュージョンの誕生~発展にも関与したこの個性派ピアニストは、『Reverence』収録曲の半数以上で独特のタッチによる美しく流麗なピアノを披露。新作『O Piano De Joao Donato』(Deckdisc)もリリースされたばかり(P104をチェック!)。

小野リサ
ジョアン・ドナートのリリカルなピアノ・プレイと卓越したアレンジ・センス、そして名曲の数々を味わえるのが、小野リサの95年作『Minha Saudade』(BMG JAPAN)。また、彼女はアンリの〈僕の島で〉を2003年作『DANS MON ILE』(東芝EMI)でカヴァー。さらにアンリの『Chambre A-vec Vue』に収録されていた夢見るようなナンバー“J'ai Vu(人生という名の旅)”を、本人とのデュエットで披露!

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年05月02日 17:00

更新: 2007年05月02日 17:43

ソース: 『bounce』 286号(2007/4/25)

文/ダイサク・ジョビン

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