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インタビュー

Lady Sovereign(2)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年03月15日 19:00

更新: 2007年03月15日 22:30

ソース: 『bounce』 284号(2007/2/25)

文/若杉 実

自分が感じたことをラップしてる

 ジェイ・Zのさりげない一言は、USデビュー前の期待と不安が心の中で交錯する当時20歳の女の子に確かな自信を持たせることになる。事実、『Public Warning』への取り組みは、USという巨大マーケットをほとんど意識せず自然体のまま行われた。リアーナ、リック・ロスらに続くニューカマー、加えてデフ・ジャムにおける北/中米外のアーティスト第1号となったのだ。

「ジェイ・Zに言われたことを噛み締めて、〈自分〉を120%出すよう努力したわ。例えば“Love Me Or Hate Me”、最初にカットしたこのシングルには私の素直な気持ちが込められてる。〈私のことが嫌いでも私は自分が好き/そういう自分を恥じてない〉ってね」。

 その“Love Me Or Hate Me”はソヴァリンの元気印をそのままトラックにした痛快な曲だ。また、特別な1曲としてアルバムを輝かせる象徴にもなった。そこで共演しているのがミッシー・エリオットなのだ。

「いっしょにできると知って興奮を抑えきれなかった。そうでしょ、彼女こそ〈自分らしく生きる女性〉の鑑なんだから」。

 同曲のプロデュースは、ケリー・クラークソンやピンクを手掛けてきたDrルークが担当。オールド・スクール回帰が続くここ最近のミッシー同様、ソリッドなエレクトロだ。何度かいっしょにライヴをやったというベースメント・ジャックスも1曲担当している。それ以外の中心プロデューサーはメダスンとメンタ。「彼はとにかくイカレてるわ」と彼女もその奇才ぶりに脱帽のメダスンは、多種多様なブレイクビーツを扱う一方で、スペクトラムというバンドではシンガーを務めるハックニーの人間だ。2人組のメンタは息の長いUKガラージのDJ。スピード・ガラージ~2ステップ~ダブ・ステップ~グライムと、常にこの世界で時代相応の可能性を探ってきた。ソヴァリンいわく「彼らはいつでも冗談ばかり言い合ってる、お笑いコンビみたい(笑)」。

 そしてこうしたプロデューサーに支えられたアルバムは……。

「だからこれは〈グライムの作品〉じゃないし、私もグライムのMCじゃないのよ。もちろん私のデビューはグライムの世界からだった。でも……ちょっとクサい言い方になるけど、これまで見てきたことや体験してきたこと、うんざりしたこと、ハッピーになれたこと、すべて自分が体験して感じたことをラップしてるだけなの。ただグライムには独特のアティテュードがあって、それはいまの私も受け継いでいるわ」。

 MCという立場からこうした姿勢を貫くのはごく自然なことだろう。ディジー・ラスカルやロール・ディープなど、これまで輩出されたグライムのアルバム・アーティストだって異口同音にそう唱えてきた。そしてこのアルバムを機に共演オファーが殺到しているのも、グライムという枠に収まりきらない、彼女の若くて活発な才能を証明するものに他ならない。

「いつかプロデュースする側にも立ちたいの。生意気かもしれないけど、例えばミッシーを私なりの色に染めてみるとか。できないかしら?」。

 具体的にその日がやって来るかはわからないけど、USでも十分通用することをこうやって証明してみせたのだから、その野望は持ち続けてほしいところだ。がんばれ、カワイ子ちゃん!
▼『Public Warning』に参加したアーティストの作品。

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