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インタビュー

Chicken Lips(2)

生々しいグルーヴが好きだね

 インタヴューに応じてくれた中心人物のアンディ&ディーンに、まず彼らのオールタイム・ベストを尋ねると、アンディは「クラフトワークの“Autobahn”とデペッシュモードの“Never Let Me Down Again”、あとジョージ・クリントンの “Loopzilla”」とニューウェイヴ・トゥー・ファンクな選曲。一方のディーンはディスコ・ファンクと初期ハウスの重要曲を挙げる。

「ここにアトモスフィアの“Dancing In Outer Space”があるんだけど、これは12インチで聴いた初めてのクラブ・レコードなんだよね。80年にリリースされて、弟が家でよくかけてた。アメージングだった。〈ワオ!〉なんてもんじゃないくらい驚かされたよ。次はアドニスの“No Way Back”かな。これは僕にとって初めてのハウス・ミュージックさ」(ディーン)。

 2人は、かつて80年代後半にビザール・インクなるハウス・ユニットとしてレイヴ・シーンでヒットを飛ばしている。レイヴの洗礼をモロに受けた彼らだからこそ、アシッド・ハウスにエレクトロ・ディスコ、ニューウェイヴ・ファンクのルーディーなグルーヴを見事溶かし込めたのだろう。彼らの2002年作『Extended Play』について、海外音楽メディアのレヴューにはこのような評がある。〈チキン・リップスは現代の23スキドゥーだ〉と。

「上手いねー。いい褒め言葉だ。23スキドゥーは、いまのシーンに閃きを与えてくれた80年代のバンドだよ。(『Extended Play』に収録された楽曲での〈生々しいグルーヴ〉については)スタジオでいろんな楽器をプレイしはじめたんだ。技術は経験からだね。僕が弾いているベースは、君が言うとおりの生々しいグルーヴのサウンドになっていると思うよ。そういう感じは好きだね」(アンディ)。

「あのアルバムを制作していた頃はアーサー・ラッセルの作品をいっぱい聴いて、影響されていたね。NYの〈ノーウェイヴ〉と言われてた時代のやつだね!」(ディーン)。

 ある種のトレンドセッターとなった彼らは、さまざまなアーティストのリミックスを受け、同時に多くの名義を使い分けてきた。アンディ&ディーンによる実験色の強い名義=ビッグ・トゥー・ハンドレッドや、ユーロ・テイストのディスコを大フィーチャーしたアンディのエンペラー・マシーン、ディーンのホワイト・ライト・サーカスなど……。こうした課外活動の充実を経て制作されたのが、今回のニュー・アルバム『Making Faces』だ。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年03月16日 19:00

更新: 2006年03月16日 20:53

ソース: 『bounce』 273号(2006/2/25)

文/リョウ 原田