T.O.K.
掲載: 2005年07月07日 15:00
更新: 2005年07月14日 20:01
大成功を掴んだファースト・アルバムから3年半、直球ダンスホール・チューン満載の新作を引っ提げてT.O.K.が堂々参上! さぁ、待たされたぶんだけ踊り倒せ!!
音楽で言葉のギャップを埋める

隠れヒット商品、とでも言えばいいのか。T.O.K.のファースト・アルバム『My Crew, My Dawgs』は、日本でロングセラーを記録して2001年のリリース以来、現在までに20万枚を突破している。これはプラチナム・セールスにあたり、アメリカのヒップホップやR&Bの大物でもなかなか到達できない数字だ。日本におけるレゲエ人気の高さと、美しいハーモニーが好まれる国民性が理由だろうか。
T.O.K.初心者のために基本スペックから。中学時代の仲間で結成され、レゲエでも珍しいDJ2人にシンガー2人という構成がウリ。全員が聖歌隊の出身で、結成当時は4人とも歌っていた。なにしろいちばん初めにカヴァーした曲がシャイの“If I Ever Fall In Love”。ボーイズIIメンでもジョデシィでもなく、アカペラに強いシャイに中学生の時点で惹かれてしまうあたりが現在のT.O.K.の底力を示唆している。〈いまでも歌えますか?〉と振ってみたところ、「ヤバイ思い出が多すぎるから、歌えない」とのこと。そう話すクレイグ・Tだが、レゲエと並行してルーサー・ヴァンドロスやサム・クックを聴き込んでいるらしい。最新作収録の“Tell Me If You Still Care”もSOSバンドのカヴァーだ。
「ジャマイカでは特にヒットしていない曲でも、俺たちは結構チェックしているんだよね。いろんなところからアイデアを拾ってくるから、T.O.K.の音楽の出どころを理解するのは難しいんだよ」(フレックス)。
この言葉を裏付けるように、お気に入りのアーティストはボブ・マーリー、バーリントン・リーヴィ、スーパー・キャットからリンキン・パーク、アウトキャスト、コールドプレイまで多岐に渡る。
待望のセカンド・アルバム『Unknown Language』は、ここ2~3年のヒット曲を網羅した大サーヴィス盤だ。
「ファンの要求に応えたストレートなダンスホール・アルバムだ」(ベイ・C)。
続けて、「次の展開はまだわからない。全部ワン・ドロップのアルバムを作るかもしれないし、プロデューサーの布陣をガラリと変えるかもしれないし。今回みたいに待たせないことは確実だけど」と付け加えた。
「次はスタジオでマッドなことをするつもりだ。俺たちはいつも人とは違う、まったく新しいことをするように心懸けている。トレンドセッターだというのは間違いないね」(クレイグ・T)。
2001年以来4回も来日を果たしているから、丁寧に編んだドレッドをなびかせてステージを縦横無尽に走り回る4人の姿を目撃したことのあるファンも多いだろう。ステージで観せる、エネルギッシュで明るくて女の子ウケするイメージもT.O.K.の大事な一面だ。それに少し大人になった表情が加わったのは、死を弔う“Footprints”や、血なまぐさい現状を嘆く“Wah Gwaan”といった曲で生活感情を曲に焼きつけるようになってから。“Footprints”は、アレックスがたったひとりの弟を流れ弾で失った事件からできた曲だ。ギャル・ネタやパーティー・ネタの曲を〈芸〉と呼べる域まで磨き上げつつ、硬派な面も見せる。〈俺たちの結束は岩のように堅い〉と歌う“Solid As A Rock”が生まれた経緯について訊いたところ、「最初のマネージャーであるリチャード・ブラウニーの元を離れた時に作った曲だ。これでT.O.K.もリチャードもダメになるだろう、とか言われてね。でも、俺たちはそのまま居座って、浮き沈みや競争が激しいなかで自分たちらしさを失わず、ダンスホールに貢献してきた。大変な時期を経験して、逃げないで頑張りとおしてこそ次の展開があると信じているんだ。自分たちの経験を歌っているのと同時に、みんなを励ましている曲なんだよ」との言葉がベイ・Cから返ってきた。
タイトルも意味深。クレイグ・Tは「俺たちが使うパトワは、他の国の人には通じない言葉だ。でも、そこを譲っては俺たちらしさを失ってしまう。自分たちの言葉にこだわりつつ、誰にでも通じる音楽を作ることでギャップを埋めることがテーマだった」と話す。確かに歌詞がまったくわからなくても、T.O.K.の曲を聴けば身体が動いてしまう。でも、なにを言っているかわかったほうが数倍楽しいのも事実。手前ミソになるが、筆者がゴネて、日本盤ではおそらく本邦初挑戦・左右対照でリリックと対訳を配してもらった。ぜひチェックしていただきたい。
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