T.O.K.(2)
俺らの土台はあくまでジャマイカ!
カリブ海域やヨーロッパ、そして(もちろん)日本でも大人気の彼らだが、アメリカのメインストリームでの認知度はこれから、という段階。それに関しては〈一切無理をしない〉という方針らしく、共演についても「曲を作るうえで必要だったらやるけれど、有名になるためだけにはやらない」と全員一致でキッパリ。アメリカのR&Bにインスパイアされたグループにしては意外な気がするが、その影響についても、「アメリカのカルチャーは自然に触れて採り入れているけれど、ジャマイカで生まれ育ったことが土台にあるのが大事だと思う。そのまま真似するのでなく、自分たちのカルチャーを一度通して自分たちなりの表現をしているんだ」(フレックス)と説明した。個人的には、全米のTVやラジオに、T.O.K.が溢れる日も遠くはない気がするのだが。口々に「今後は音作りに力を入れていきたい」とも語っていたから、すでに次のアルバムが楽しみだ。親日家の彼らに、今回のツアーの感想を訊いて締めくくろう。
「2週間のツアーだったから、いろいろな人に会えたのは良かったね。違う文化を吸収するのはおもしろいし、日本人の規律正しさは素晴らしいと思った。みんな動きが速くてマンガみたいだと感じた時もあったな。日本人はすごく働くけれど、そのぶん楽しんでいる気もする。困ったことは特にないけど、回りくどくてなにが言いたいのかわかりづらい時がたまにあるね」(アレックス)。
島の外の人にはなにを言っているかいまひとつわからない〈Unknown Language〉を操る彼らと、ついつい回りくどい言い方をしてしまう私たちと。コミュニケーション・ギャップが思いっきり生じそうなのに、音楽を媒介に気持ちが通じてしまうのだ。それを可能にした新作はスゴイ。それを作ったT.O.Kもエライ。そして、レゲエは、ほんっとに大きい。
カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2005年07月07日 15:00
更新: 2005年07月14日 20:01
ソース: 『bounce』 266号(2005/6/25)
文/池城 美菜子