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インタビュー

Anti-Pop Consortium(2)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年04月11日 12:00

更新: 2003年03月07日 19:10

ソース: 『bounce』 230号(2002/3/25)

文/バルーチャ・ハシム

俺たちはオーソドックスじゃない

ヒップホップ・シーンだけではなく、エレクトロニカ・シーンからも人気を得ていたAPCが、電子音楽の名門レーベルであるワープと契約したのは、ある意味自然なことだった。ビーンズとプリーストが以前からオウテカ、エイフェックス・ツインなどのファンだったこともそれを裏付けている。APCが去年レディオヘッドの前座としてヨーロッパを周ったことも、彼らの幅広いファン層を表していると言えるだろう。

3人によれば、新作『Arrythmia』には特に総合的なコンセプトはなかったらしいが、「とにかくホットな作品を作りたかった」(ビーンズ)らしい。タイトルは、医学用語で〈不整脈〉を意味するが、サイードによるとこれは「一定ではないビート」を意味している。このタイトルは、今作で聴くことのできる、オーソドックスとは言い難く歪んだ曲の構造をよく表していると言えるだろう。サイードがプロデュースした“Mega”は、APCのプロダクションに対する奇想天外な発想のいい例だ。

「俺がこの曲のベーシック・トラックを作って、アールに〈曲の中間はクィーンみたいなシンフォニックな感じにしたいんだよ〉って伝えたら、彼は実際にオペラ・シンガーとストリングス奏者を呼んできて、俺の願いを叶えてくれたんだ」
(サイード)。

また、プリーストがプロデュースした“We Kill Soap Scum”は、彼のクリック・テクノ好きを反映していると言えるだろう。実際にプリーストは、ミル・プラトーからリリースされた『Clickhop Version 1.0』というコンピレーションにも参加しており、ドイツのフォース・インク、コンパクト、チェイン・リアクションなどのミニマル・テクノ・レーベルにも精通している。しかしながら、今作の制作中に3人は、電子音楽をおもに聴いていたわけではないらしい。ジェイ・Zやティンバランドなどのコマーシャル・ヒップホップもインスピレーションになっていたようだ。

「なにかにインスピレーションを受けながら、自分たちにしかできないことをやろうとしてる。俺らがなにかをやれば、そこには必ずネクスト・レベルな要素が入ってるんだ。商業的な音楽を聴いているオーディエンスが、俺の音楽を気に入らなくても構わない。自分の作品を、既存のカテゴリーにフィットするようには作ってないんだから」(サイード)。

今作に3人のアイデアを全て入れ込むのが困難だったためか、メンバーは皆ソロ・アルバムにも取りかかっているという。ビーンズとプリーストはそれぞれワープからのリリースを予定しており、2人はフリージャズ・ピアニストのマシュー・シップとのアルバムも制作することになっている。サイードもソロ・アルバムを作っており、MFドゥームとコラボレートしている。アール・ブレイズもソロ・アルバムを制作中とのことだ。

「俺らは最初からオーソドックスじゃなかったんだ。音楽の聴き方もオーソドックスではなかった。ヒップホップでも、昔はそういうオーソドックスじゃないものが多かった。俺らはそういうスピリットを継承していきたいんだ」(サイード)。

ヒップホップの、さらにはあらゆる音楽の保守的なルールに一切縛られず、APCは今後も想像しがたいような斬新なアプローチでわれわれを脅かし続けるのだろう。

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