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『プラハの春音楽祭ゴールド・エディション Vol.6』2枚組 2026年1月中旬発売

プラハの春音楽祭

マズア、ボド、フェレンチク──歴史を刻むプラハの春の名演

輸入盤CD


チェコ放送の自主レーベル「ラジオサーヴィス」のシリーズ『プラハの春音楽祭ゴールド・エディション』の第6弾。ディスク1には、1991年6月4日にプラハ・スメタナホールで行われた、クルト・マズア指揮ゲヴァントハウス管によるベートーヴェンの「第9」。
クルト・マズア(1927-2015)は、東ドイツを代表する指揮者としてその存在感を確立。歌劇場指揮者としてキャリアをスタートさせ、1970年にライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の音楽監督に就任すると、オーケストラとの名コンビぶりで知られるようになります。マズアは東ドイツ芸術アカデミーの会員として国家的権威を持ち、芸術家以上に社会的影響力を備えていました。その象徴が1989年ライプツィヒ「月曜デモ」での声明です。七万人の市民に銃口が向けられる中、彼は武力行使を避けるよう訴え、ベルリンの壁崩壊へとつながる契機となりました。統一後も存在感は衰えず、1991年から2002年までニューヨーク・フィル音楽監督として国際的に活躍しました。
音楽面では、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団とともに二度にわたりベートーヴェン交響曲全集を録音しています。最初は1972~1974年、そして二度目は1987~1992年にかけて行われました。今回の「第九」は後者の全集録音の時期にあたり、ドイツ統一直後にプラハの春音楽祭で演奏されたことは、音楽的価値に加えて歴史的意味を強く帯びています。
こうしてマズアの「第九」は、単なる名演の記録にとどまらず、東西ドイツ統一という時代の節目を象徴する響きとして、歴史的にも価値のあるものとなっています。
ディスク2には、フランスの指揮者セルジュ・ボド(1927-)とハンガリーが生んだ世界的な指揮者ヤーノシュ・フェレンチク(1907-1984)指揮によるプラハ交響楽団との演奏が収録されています。
音楽家の家庭に生まれ、父にオーボエ奏者エティエンヌ・ボド、叔父にポール・トルトゥリエを持つフランスの指揮者セルジュ・ボドは、パリ管、リヨン国立管の監督を経て、後にプラハ交響楽団の首席指揮者として活躍。ビゼーの交響曲第1番は、1935年に名指揮者ワインガルトナーによってスイス・バーゼルで初演され、翌年にはシャルル・ミュンシュの指揮でパリ初演が行われました。ボドはパリ管時代にミュンシュと深い親交を持っていたので、このビゼーの演奏も輝かしさに満ちた素晴らしいものだったのでしょう。
そしてフェレンチクによる、ハンガリーの作曲家バルトークの代表作《管弦楽のための協奏曲》。この作品は日本フィルハーモニー交響楽団やハンガリー国立交響楽団と録音されていますが、特有のリズムとアクセントを母国の指揮者ならではの解釈で聴かせています。
RADIO SERVIS

【曲目】
【CD1】 (64'57)
ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 作品125
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 クルト・マズア(指揮)
録音:1991年6月4日 プラハ・スメタナホール、ライヴ

【CD2】 (63'35)
ビゼー:交響曲第1番 ハ長調
プラハ交響楽団 セルジュ・ボド(指揮)
録音:1976年5月16日 プラハ・スメタナホール、ライヴ

バルトーク:管弦楽のための協奏曲
プラハ交響楽団 ヤーノシュ・フェレンチク(指揮)
録音:1981年5月24日 プラハ・スメタナホール、ライヴ

カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2025年12月04日 00:00