Tele スタッフコラム【第3回】楽曲「ぱらいそ」について語ってみた。
Teleファンのスタッフによるコラム連載!
何回かにわたり、好きな歌詞や楽曲のポイントなどを語ってまいります!
第3回では、楽曲「ぱらいそ」について
タワーレコード オンラインスタッフ2名が自由に想いを語ってみました。
■スタッフ:笹
タワーレコード オンライン邦楽担当。「COUNTDOWN JAPAN 23/24」で観たTeleのステージが忘れられず、Tele Live Tour 2024「箱庭の灯」武道館公演ですっかりTeleの魅力に染まる。散歩しながら曲を聴くのが好き。あと犬とカレーが好き。
■スタッフ:夏
タワーレコード オンライン邦楽担当。Teleのライブ初参戦はTele TOUR 2023 「祝 / 呪」で、落ち込んだ時には「花瓶」「夜行バス」を聴いてメンタル回復。外出時はイヤフォンが必須アイテム。うどんと短い足の動物が好き。
まずはじめに、感謝を伝えたい!
笹:スタッフコラム第3回!よろしくお願いします!
夏:はい、よろしくお願いします!
笹:今回の本題に入る前に、まず話したいことがあって… 第2回のコラムを上げた時に、Teleこと谷口さんがXでコメントしてくださったんですよね。すごく嬉しかったです!ありがとうございます!
自分の曲でこんなに沢山話してくれるの嬉しい。
— Tele (@KitrTele) May 13, 2025
あと自分のものだと思ってた曲が誰かの手に渡ってて不思議な気持ちになる。https://t.co/og4gxNUL2d
夏:いや、まさかご本人の元に届いていると思わなくて…!結構いろんな解釈を勝手に広げてしまったかな…と思ってちょっとドキドキしたんですけど、嬉しいってコメントをいただいたので、良かった!と思いました。
笹:「自分のものだと思ってた曲が誰かの手に渡ってて不思議な気持ちになる。」とコメントしてくれていたんですけど、Teleの曲を自分のお守りみたいに大切に聴いている人ってすごく多い気がします。この前ファンの方に「お気に入りの1曲」っていうアンケートをしたんですが、曲に共感したり、救われた、って綴ってくれたりした方がたくさんいました。
>>【結果発表】Tele ニューアルバム発売記念アンケート企画「お気に入りの1曲」
笹:是非アンケート企画の結果の方も、このコラムを読んでくださった方にはチェックしていただきたいなと思っております!
夏:そうですね。第2弾のコラムで取り上げた「包帯」もコメントがたくさん寄せられていました!改めて、応募してくれたTeleファンの皆様、ありがとうございました!
「ぱらいそ」について自由に語る!
笹:それでは今日の本題に入りたいと思います!今日は「ぱらいそ」についてお話をしていければと思うんですけど、まずそもそも「ぱらいそ」っていう言葉、夏さんは知っていましたか ?
夏:なんとなくワードとしては聞いたことがあったような気がしたんですけど、特別意味を調べたことはなくて。今回初めて調べて、スペイン語なんだなっていうところにびっくりしました。
笹:うんうん。私もこの言葉知らなくて、最初は造語なのかなって思ってたぐらいだったんですけど、でも実はスペイン語で「楽園」とか「天国」みたいな意味だっていうのを知りました。平仮名で表現するとちょっとかわいげがありますよね。
笹:そんな「ぱらいそ」なんですけど、夏さんはこの曲を聴いた時に感じたこととか、印象に残った部分などはありますか?
夏:はい、この曲を一言で表すなら何て言うんだろうなって考えた時に、口にすると現実感を帯びてしまってTeleの世界観から覚めてしまうとも思うんですけど、言うなれば「このストレス社会を生きる誰かの命をつなぎ止める歌」だなっていう風に思いました。
笹:なるほど~。すごく素敵な表現ですね。確かに私も社会人として働く人に刺さる曲だなって思いました!
夏:ありがとうございます!そうですよね。タイトルの「ぱらいそ」=「楽園」っていうワードも結構歌詞の中に出てきてたと思うんですけど、「楽園」っていうのも現実への皮肉としての言い回しに感じました。 MVも全部ダンボールで手作りの世界だと思うんですけど、そういう「作られた世界」を生き抜くためにずっと心がすり切れているっていう風な印象が強かったです。
笹:そうですね。 曲の前半は特に現代社会に疲れてたり、皮肉交じりの歌詞だったりですよね。確かにダンボールが「作られた世界」を表しているかも、って今はっとさせられました。
夏:MVの中で何度も目覚まし時計を潰して止めたりとか、満員電車でバックパック抱えて押しつぶされる描写だったりとか、あと歌詞の「張り詰めた糸を渡るまともさを 讃えるなら、抱きしめて下さい。」っていう部分がまさにそうだなと思って。私も前職では毎日結構時間をかけて通勤していたんですけど、そういった時を思い出してもう胸がいっぱいになりました。
笹:分かります… 働いている人にとってはすごく自分を重ねて聴いてしまう曲だなっていう風に思いますよね。
夏:いや本当に。
笹:学生の頃とかだと何にでもなれそうな気がしていたんだけど、社会人になって自分のできることとか将来像みたいなものが、ある程度決まってくる、制限されてくるようにも個人的には感じていたんですね。でもこの曲を聞くと、序盤は現代社会への皮肉とか風刺が入ってるけど、最後の方でまた自分を奮い立たせてくれるようなメッセージ性があるというか。結局自分次第でまだ何でもできるんだな、みたいに思えてきて、夏さんが最初に言っていた「ストレス社会を生きる誰かの命をつなぎ止める歌」っていうのがすごく自分の中でもしっくりきました。
夏:わ、ありがとうございます!でも本当にそうですよね。毎日のルーティーンとか日々の仕事内容とかがもう決まっているというか。通勤電車の中で、仕事に向かうの嫌だなって思う日もあるし、すり切れるような感じとか共感がいっぱいあって。それでもまた明日は来るし、また満員電車に乗る、日々は続いていく、っていう感じがあるな、って今お話を聞いていて思いました。
笹:うんうん。現実は大変だけど、でもその中でも生きてやるよ、やってやるよ、みたいなちょっと挑戦的な部分とかも感じられたりして。まっすぐに元気づけるとか勇気づけるんじゃなくて、現実を挑発しながら自分を奮い立たせるみたいなところがすごくTeleっぽくて、アルバムの中でも私は結構お気に入りの1曲ですね。
夏:そうなんですね!確かに。私も印象に残っている歌詞があって、1番最後のラスサビに向かっていくところの「壊れたまんまの君の瞳に 似合う言葉なんて解らないんだ、ずっと。」から始まる部分です。例えば壊れたまんまの瞳の持ち主っていうのは、もう限界を迎えてるのに今も騙し騙しで現実を耐えてるのかなっていう風に思っていて、その方にかける言葉は見つからないけれど「歌え!踊れ!君を騙せ!」っていう力強いメッセージを送っていたのが印象的でした。
笹:そこ、確かに言葉のパワー感じました!
夏:ですよね!その後の「光が見えなくたって息は続く。 どうだ!僕は大丈夫!」っていう風に力強く言っているところは、この作られた楽園の先頭を一目散に走って行くような姿が浮かんで、「もう大丈夫だから、ちゃんと生きていけるからね」みたいな強いメッセージ性を感じました。その後に「誰かが手放す明日をかき集めて抱きしめた、 安っぽい希望を。」っていう風に続くんですけど、この抱きしめたっていうワードは最初の部分にも出てきていて、それがさっきもお話ししていた「張り詰めた糸を渡るまともさを 讃えるなら、抱きしめて下さい。」っていう部分なんですが、伏線だったのかなって思いました。そういった思いも最後に全部抱きしめてくれていたんだなっていう風に思って、あ、なんか繋がった!と思って、嬉しくなってました。
笹:確かに抱きしめた、っていうところ伏線になってますね!最初の方は「僕は大丈夫」って言い聞かせながらストレス社会を生きていて、でも最後のところで「僕は大丈夫!」って力強く宣言してほかの人の分まで抱きしめてあげるっていうのが、自分の殻にこもっていたところを抜け出して、本当に先頭を引っ張っていくかのような感じですよね。
笹:あとMVを観ていても、いろんな人が出てきてミュージカルっぽさがありましたね。
夏:そうですね、私も思いました!
笹:セットとかもミュージカルみたいで、なんか「劇団Tele」だなって思ってたんですけど、さっきの話を聞いてやっぱり劇団の座長みたいだなっていう風に思いました。劇団を引っ張ってくれる座長。
夏:確かに座長ですね!本当に一番に引っ張ってくれる存在で、後からついていきたくなるような印象がありましたね。
笹:ありましたね!ミュージカル映画の華々しいフィナーレみたいな感じで、すごくエネルギーをもらいまいした。
夏:MVは結構明るい感じで、わちゃわちゃってしてる感じのMVだったんですけど、気になるポイントもいくつかありました。まず冒頭に大きい時計が出てくるんですが、現実世界の時計とちょっと違って、数字の位置がずれていて異世界チックだなって感じました。あと途中で暗転しては明転して、暗転しては明転して、谷口さんの表情も明るかったり暗かったりっていう風に変わっていくので、気持ちの上げ下げを表しているのかなとか、やっぱり少し限界が来てどこか頭がバグってしまっている部分もあったりするのかなと思って、深いなって思いました。
笹:なるほど。確かに今冒頭の時計を見ましたけどずれてますね。よく気づいてくださいました。数字の表記もバラバラだったりして、確かに整理ついてない感じがこの時計ひとつとっても感じられますね。このMV自体がもう「人生」みたいな感じですよね。
夏:本当に!一番最後は人々がわーって押し寄せてダンボールが崩れてエンド、っていう感じだと思うんですけど、人にもみくちゃにされるシーンが、早起きして満員電車で通勤する明日がまた来るな、みたいな感じなのかなと捉えてました。
笹:確かに、1日が始まって終わって、また続いていくみたいな感じがしますよね。
笹:ちなみに夏さん的に、このタイトルの「ぱらいそ」は、こんなことを指しているんじゃないか、っていうのはありますか?
夏:はい、本来はそれこそ「天国」だったり「楽園」のような楽しいところなんですけど、ここで指してる「ぱらいそ」っていうのは、冒頭でもお話ししたような「現実社会」のことじゃないかなっていう風に思っています。現実社会からちょっと現実逃避をしたいので、自分のことを騙して現実のことを「楽園」っていう風にしているのかなっていう風に思いました。
笹:うんうん、ありがとうございます!歌詞の中でも「歌え!踊れ!君を騙せ!」って言っているので、騙し騙し生きている感じがしますし、現実への皮肉ともとれますよね。このタイトルも含めて、全体的に社会風刺がきいている感じの曲で、皮肉もあって、Tele節がきいてて良いなと思いました。
夏:思いました。前回の「包帯」もそうだったんですけど、この曲のタイトルは「ぱらいそ」しかなかっただろうなって改めて思いました。
笹:そうですね!ここにネガティブなタイトルをつけるんじゃなくて、「ぱらいそ=楽園」ってつけるところが、本当に素敵なセンスだなと思います。
第2回 おわり
▼過去コラム
Tele スタッフコラム【第2回】楽曲「包帯」について語ってみた。
Tele スタッフコラム【第1回】楽曲「残像の愛し方」について語ってみた。
掲載: 2025年06月06日 16:00