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Tele スタッフコラム【第2回】楽曲「包帯」について語ってみた。

Tele

Teleファンのスタッフによるコラム連載!
何回かにわたり、好きな歌詞や楽曲のポイントなどを語ってまいります!

第2回では、楽曲「包帯」について
タワーレコード オンラインスタッフ2名が自由に想いを語ってみました。

■スタッフ:笹
タワーレコード オンライン邦楽担当。「COUNTDOWN JAPAN 23/24」で観たTeleのステージが忘れられず、Tele Live Tour 2024「箱庭の灯」武道館公演ですっかりTeleの魅力に染まる。散歩しながら曲を聴くのが好き。あと犬とカレーが好き。

■スタッフ:夏
タワーレコード オンライン邦楽担当。Teleのライブ初参戦はTele TOUR 2023 「祝 / 呪」で、落ち込んだ時には「花瓶」「夜行バス」を聴いてメンタル回復。外出時はイヤフォンが必須アイテム。うどんと短い足の動物が好き。

 

「包帯」について自由に語る!

笹:コラム第2回!じゃあ早速なんですけど、今日は「包帯」について語っていきましょう!

夏:はい!

笹:この曲はドラマの「ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!」のエンディングなんですよね。ドラマのストーリーやイメージとも合致する部分のある楽曲かなと思います。夏さんはこの曲を聴いての印象や心に残った部分はありますか?

夏:この曲って結構「死」がテーマとして絡んでいると思うんですが、最初に曲を聴いた感触としては、曲の始まりから結構マーチのようなポップなメロディで、「死」を連想しづらい感じがしました。MVを観て初めて、あ、こんなにしっかりと「死」が現れてるんだなとびっくりしました。それでも聴いててどこか安心感が湧く、不思議な楽曲だなと思います。

笹:うんうん、私も同じことを思いました!サウンドは結構あったかくて、アコースティックの温もりのある感じなんですけど、本当に夏さんが言っていた通り、歌詞をちゃんと読んだりMVを観たりすると死生観が現れているというか。ちょっとドキッとするような歌詞だったりもしていて不思議な曲ですよね。

夏:いや、本当にそう思いました。曲のあったかさっていうのに私もすごい共感します!歌い方が全体的にすごく優しくて、サビのところの「解けていく 君の身体 心も 包帯のようだった」っていうフレーズを聴いているだけで、私の緊張とか心の縛りも解けていくなっていう感じがして、すごくゆるゆると聴ける曲だなっていう風に感じました。

笹:確かに歌い方もすごく優しいし、サビのメッセージ性は響きますよね。あと私はその優しさと同時になんかちょっと「諦め」みたいなものも感じました。歌い方がすごく優しいんだけども、世界にあんまり期待してない感じというか、そんな雰囲気もあって。その歌い方も含めて奥が深いなっていう風に思いましたね。

夏:そうですね、「世界に期待してない」っていうのなんだか響きますね。

笹:うんうん。「諦め」も一種キーワードとしてあるのかなと思いました。

夏:実際にその歌詞の中でも、「諦めた後啜る珈琲は 少し甘い」っていう歌詞もありましたよね。

笹:ありましたありました。

夏:抽象的な感情を言葉に起こすのが上手だな、と感じます。ワードチョイスも絶妙ですよね。「包帯」って怪我をした時とかに巻くと思うんですけど、それを解く瞬間って、怪我が治った時か、もしくは巻く必要がなくなってしまったのか、ですよね。1番最後の大サビのところの歌詞を見ると「解けてゆく君の 結び目に僕はなれやしなかった」とあるので、後者だったのかなと思います。自分はその人を救えなかった、でも身近な人がいなくなってしまってもそんなに世界は変わらないし…みたいな「諦め」なのかもしれないですね。

笹:確かにそうですね。包帯とか冒頭のトースターのくだりもそうだけど、比喩表現が本当に上手ですよね。日常にある共感できるもので言葉にして表現する感じが、よりこの曲を身近に感じさせます。救えなかったことに対する諦めが表れているのが、歌詞を読むと改めて分かりますね。

夏:はい。特に最後の「ささくれだつ 君が優しさと呼んだ硝子を飲み込んだ」という歌詞は刺さりました。はじめはどういう意味が込められているんだろうと思っていたんですが、君が「優しい」と自分に言ってくれたことが、なんだか自分にはチクッと感じたのかなあと思いました。「優しい」で軽く受け流されてしまったことにちょっとショックだったとか、核心には触れられなかったというか。

笹:なるほどー。考察すればするほど深いですね。個人的には谷口さんって良い意味で捻くれた見方をしてる人だと思ってて、だからこそこういう素晴らしい曲ができるんだと思います。「優しさ」って言われて素直に受け入れられないところとか、なんだか人間らしくて、すごく共感できて愛おしいですよね。

笹:あとこの最後の部分で、歌い方が力強くなるんですよね。序盤はこうずっと優しい感じで、でもどこか諦めてて…っていう感じだったんですけど、最後に結構力強い歌い方になっていて。日々の中でちょっともやっとすることとかチクッとすることとかあるけど、これからもそういうの踏まえて生きるしかない、みたいな決意を感じました。それも一種諦めみたいなものかもしれないですが。実はすごい泥臭い曲なんじゃないかなっていうのはちょっと思いました。

夏:確かに思いました。特に「未来は 生き延びた灰の溜り場じゃないんだ」っていうのを大きい声で抗議するように歌っていて。それを聴くと「未来に意味も価値もあるんだよ」っていう風に悟してくれてるのかなと思って。この曲の安心感の正体ってこれだったのかなって思いました。

笹:「安心感の正体」!なるほどね。

夏:世界に対して「諦め」もあるんですけど、「そんな世界って馬鹿げてるよね、ちゃんと意味もあるのにね」みたいなことを言ってくれてるのかなと思って。そう思うとTeleみたいなロックスターがいてくれるおかげでこれからも生きていけるんだなっていう風にも思いました。

笹:確かに。叫ぶように言ってて、ここが実は一番伝えたかったところなんだろうなって感じがしますよね。「残像の愛し方」でもそうだったけど、結局最後は私たちにメッセージをくれてるっていうか、そういうのがTeleの曲にはたくさんあるので心に響きますね。

夏:いや、本当に。改めて今回のコラムを通して受け取り方が変わったというか、より大事に聴きたいなと思いました。読みごたえのある小説みたいな感じがします。

笹:うんうん、本当に!あと前回のコラムの「残像の愛し方」の時に、夏さんが曲にクラップが入ってて、みたいなお話をしてくれたと思うんですけど、今回は途中口笛が入るところがありましたね。

夏:ありました!

笹:歌詞的にはシリアスな雰囲気も漂う中で口笛を吹いてて、なんかそこも不思議な感覚だったんですよね。口笛でその雰囲気を中和させるかのような感じで。

夏:そうですね、結構ギャップがあるというか。「煙が昇って行く」の後に口笛が鳴ってて、あ、ヒューって煙が流れてくんだなって情景が思い浮かんで面白かったですね。

笹:うんうん。なんかこの「煙が昇って行く」っていう歌詞も、MVからしても火葬を想像しちゃうけどなんかそれをライトにしているというか。

夏:確かにMVが葬儀屋さんみたいな感じでしたね。この「煙が昇って行く」の部分、平均台に作業員さんが寝そべって上に向かってタバコを吸って、煙がヒューって流れていて。葬儀屋さんで煙が上に向かってくのを見たら、あ、火葬場だ、って分かるんですけど、結構MVのシーンはポップでしたよね。

笹:ポップでしたね。お葬式をする側からしたらそれは大きな悲しい出来事だと思うんだけど、葬儀屋さんとしては日常っていうか、毎日やってるからちょっとこう麻痺してきちゃうというか…そういうのも感じました。あと同じシーンで子どもがゲームしてる様子もありましたね。確かに子どもにとっては、自分から遠い人であればお葬式に関心がないというか、なんか死について無関心みたいなところも表されてて、今回もまたMVも深いなって思いましたね。

夏:そうですね、亡くなった人に関心がないっていうのもそうですし、子どもって若いから、遠い遠い未来だろうなって思うからこそ、死そのものについて無関心、っていうことを表しているのかなと思いました。

笹:確かにそうですね。人生の中で死から遠い子どもはもうそういうことあまり考えてないっていうことの表れかもしれないですね。

夏:はい。あと「割れた電球の破片を 金属バットで端にやる」からの歌詞で、なんか怯えてる感じがするなあと思って聴いていました。やっぱり死ぬことって怖いし、でもなんか消えてしまいたい気持ちになる時も人間あると思うので、そういう気持ちを知りたくない、僕じゃないといいな、でも消えてしまいたいな、と考えてたらぐにゃぐにゃしちゃった…みたいな感じかなって捉えてました。

笹:そうですね。「バット」ってちょっとこう攻撃的な言葉が入って、電球が割れてて、っていうので、ここで自分の中にある気持ちが弾けてる感じがしますね。ここまで仮面をかぶって「何でもないよ~」みたいな感じで過ごしてたけど、ここでちょっと変わる感じありますよね。自分の中の気持ちがゆらゆらするような。

夏:うんうん。そして最後に繋がっていくっていう。この曲、こんなにポイントがあるんだなというか、これも話したい、これも話したい!ってなりますね。

笹:本当に!歌詞を読み込む度に、曲を聴き込む度に何か新しい発見がありますよね。


第2回 おわり


▼過去コラム
Tele スタッフコラム【第1回】楽曲「残像の愛し方」について語ってみた。

 
 

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掲載: 2025年05月12日 12:30