こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

NEWS & COLUMN ニュース/記事

第184回 ─ デバージ・ファミリーの栄光と没落、そして……

デバージ家の再評価を促したリサイクル&コラボを厳選紹介! (その1)

連載
360°
公開
2009/08/26   18:00
更新
2009/08/26   18:09
ソース
『bounce』 313号(2009/8/25)
テキスト
文/出嶌 孝次

1. JOMANDA
『Nubia Soul』
 Big Beat/Atlantic(1993)
ハウス方面でも活躍したニュージャージーの女性トリオによる2作目にしてラスト・アルバム。デバージのメロウ&スムース感覚が90年代も生きていくことを予言するような“I Like It”のカヴァーは、日本でも著名なシングル・ヒットになった。

2. THE NOTORIOUS B.I.G.
『Greatest Hits』
 Bad Boy/Atlantic
デバージ・サンプリングの定番化を後押しした決定打こそ、“Stay With Me”の粋なループに洒脱なビギー節が冴えた初期バッド・ボーイ屈指のポップ・ヒット“One More Chance/Stay With Me”(95年)だろう。同年にはビッグ・Lが“MVP”で同ネタを、LLクールJが“Make It Hot”で“I Like It”を用いて、需要は一気に高まった。

3. 2PAC
『All Eyez On Me』
 Death Row(1996)
ビギーがやるならオレも……というわけじゃないのだろうが、ここに収録の“I Ain't Mad At Cha”は“A Dream”をドラマティックに用いた名曲に。怒りを抑えるような2パックの語り口が原曲の哀しげなループと融和して独特のサグい悲壮感を滲ませる。なお、“A Dream”は翌年メアリーJ・ブライジが哀愁たっぷりにカヴァーしている。

4. BLACKSTREET
『Another Level』
 Interscope(1996)
デバージ好きのテディ・ライリーが率いるグループのヒット作で、これまた“A Dream”のループに乗せてテディのトークボックスが狂おしい感情を表現する“Don't Leave Me”を収録。もう1曲、“Time Will Reveal”をゴスペルにリメイクした“The Lord Is Real”も、原曲の清楚な美しさがクワイアの昂揚感を導き出した素晴らしい仕上がりだ。

5. DJ QUIK
『Rhythm-Al-Ism』
 Arista(1998)
エルやジェイムズが西海岸のG連中と頻繁に共演して一家の現役感をキープしていく90年代後半。とりわけDJクイックとの関係は密で、本作には4分を超えるエルの実質的なソロ曲“El's Interlude”を収録。次作『Balance & Options』ではジェイムズが主役となる“Tha Divorce Song”もあったり、童貞喪失のBGMがデバージだった(ホントに?)というクイックの思い入れは本物だったようだ。

6. VARIOUS ARTISTS
『Marvin Is 60』
 Motown(1999)
キダー・マッセンバーグの指揮下で実現したマーヴィン・ゲイのネオ・ソウル文脈トリビュート企画盤。エルが“Sexual Healing”を、チコは“Till Tomorrow”を取り上げ、双方の曲を共同制作している。共にマーヴィンを敬愛するだけあって、官能的な解釈が素晴らしい。チコはジャネイ“Got To Give It Up”のプロデュースでも手腕を発揮。

7. QUINCY JONES
『From Q, With Love』
 Qwest/Warner Bros.(1999)
巣立っていったMJの代わり(?)にエルに目をかけていたQ御大のベスト盤。エルとバリー・ホワイトらによる誘惑ソング“The Secret Garden”(90年)も当然聴きモノだが、注目はエルとサイーダ・ギャレットの新録デュエット“I'm Yours”。揃ってMJっぽさを発散しながら温かいメロディーを誠実に歌う様子が美しすぎる。