悠久の響き!アナログ録音の第2番から始まり、残り3曲はデジタル録音で収録されたスウィトナー晩年のブラームスを最新SACD化。今回の発売のために本国所蔵のアナログ・マスターテープとU-Maticで記録されたマスターテープから新規で復刻!SACDハイブリッド化第34弾
1990年に事実上指揮を引退したオトマール・スウィトナー(1922/5/16-2010/1/8)のキャリア最終期にあたる1984-86年にかけて収録されたブラームスの交響曲全集が遂にSACD化!デジタル録音の導入が他レーベルと比較してかなり遅かった当時のETERNAは、1984年に収録された交響曲第2番のみアナログで録音が行われ、翌年の第3番以降はデジタルで収録された全集です。尚、これまでETERNA(Berlin Classics)では第2番のLP含めCD期においてもオフィシャルではこの第2番はデジタル録音と明記されていましたが(第2番のLPのジャケットにもDMMの表記あり)、今回本国でマスターテープを捜索した際にアナログのマスターだったことから、公式(輸入盤)では今回初めてアナログ録音に修正されています。従来の当企画ではアナログ録音のSACD化企画として進行しておりデジタル録音のSACD化は行っていませんでしたが、今回同時期のスウィトナーのブルックナー交響曲集を復刻するにあたり、アナログとデジタルが混在していたこのブラームスにおいても従来プロセスに近い形でのまとまった交響曲全集として復刻することができることになりました(クリストフ・スティッケル氏によるデジタル録音のマスタリング・プロセスに関しましては別欄を参照ください)。元マスターの仕様は異なりますが、SACDで再現される音質差はさほど感じさせないという意味においては、初期デジタル録音のハイレゾ化の恩恵による復刻の意義があったと言えます。何よりも、晩年のスウィトナーの至芸を後世に残すべく、最良の方法を今回採用しました。
この録音はスウィトナーが晩年になって完成させた唯一のブラームスの交響曲全集であり、モーツァルトやベートーヴェン等独墺系の作品のセッション録音が多いなか、ブラームスに限っては音源が少ないのが意外です。ライヴでは取り上げているとは言え(N響との第3番など)、主に他には1989年収録の「ハンガリー舞曲集(21曲)」(TWSA1130としてコロムビアのORT企画で2022年に発売)くらいでした。引退する約6年前から収録したこの全集は、晩年のスウィトナーの境地が滲み出た演奏とも言え、全体的に情感が込められた落ち着いた響きになっています。ただ、そこにあるのはまさしくドイツの響きそのものであり、長いキャリアの上に成り立つ熟成された音楽に違いありません。悠久の流れの中で築かれる、まさにスウィトナーの集大成とも言える録音です。
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タワーレコード(2024/04/19)
今回該当するDISC1と3に関しまして、従来ETERNAのアナログ録音を中心にSACD化を進めてきましたが、デジタル録音を他レーベルに大幅に遅れて1985年以降くらいから導入してきた音源の中にも高音質化に相応しい録音が多くあることから、アナログ録音と同様にクリストフ・スティッケル氏によるマスタリングを導入した次第です。氏のマスタリング手法はデジタル音源であっても工程はアナログ録音との相違はそれほどなく、元々の本国所蔵のオリジナルの「U-Maticテープ」(現在再生できる設備は世界的にも非常に少なくなっています)からあえて一旦アナログ化を行った上で、その後は従来通りアナログ領域においてリマスタリングを行う方法を採用しています。これにより、元マスターの記録方法は異なるとは言え、従来のアナログ・マスターでのマスタリングと比較し違和感なくSACD化を行うことができました。その音質をぜひ、ご確認ください。
今回の復刻に際して、マスターテープはレーベルからウィーン在住のマスタリング・エンジニアであるクリストフ・スティッケル氏のスタジオに空輸し、アナログ領域でのマスタリングを行った上で、デジタル化にあたってはSACD層用のDSD化とCD層用のPCM化を別系統で行い製品化。今回の復刻に限らずこの企画では、日本にある本国からのコピーマスターからではなく、本国のオリジナルのマスターテープに遡ってマスターを一から作り直していますので、良質なテープのコンディションを基にした一世代上の品質を存分に味わうことができます。現在考えられる限りの理想的な方法でのマスタリングを実現しました。その効果は著しく、マスターテープに残されていたクオリティを極めて忠実に再現することが可能となり、さらにアナログ領域のみでのマスタリングとダイレクトDSD化が、より音質的に効果をもたらしています。従来と比較して驚くほど鮮明で解像度が高くなったことにより、演奏に対する更なる評価が期待できるほどの出来です。尚、解説書には今回使用したオリジナル・マスターテープの外箱の写真もカラーで掲載してあります。
<マスタリング詳細>マスタリング・エンジニア(DSD化含む):クリストフ・スティッケル氏
~在ウィーン。ミュンヘン・フィル自主制作盤のマスタリングや、タワー企画盤JAZZのECM SACD企画(2017~)も担当。 現在ヨーロッパでもっとも信頼の厚いエンジニアのひとり
"オリジナル・デジタル録音におけるETERNAピュア・アナログ・リマスタリング"(DISC1,3)
本国所蔵のU-Maticで記録されたマスターテープからデジタル音源を抽出後、アナログ領域でリマスタリング
SACD層:上記を経てDSDにダイレクト・コンバート
CD層:同様に上記を経て44.1kHz/16bit化
それぞれのデジタルデータは伝送ではなく、光学ディスクで空輸
"ETERNAオリジナル・アナログテープからのピュア・アナログ・リマスタリング"(DISC2)
SACD層:新規で本国のアナログ・マスターテープから、アナログ領域でのマスタリング後、ダイレクトにDSD化
CD層:同様にアナログ領域でのマスタリング後、96kHz/24bitで高品位デジタル化後に44.1kHz/16bit化
それぞれのデジタルデータは伝送ではなく、光学ディスクで空輸
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タワーレコード(2024/04/19)
名匠スウィトナーのキャリア最後期に位置する唯一のブラームス交響曲全集。今回84年録音の第2番がアナログ録音だったことが判り、85~86年デジタル録音と併せ、音質面でも興味深いSACDハイブリッド化。DENONのベートーヴェン全集に続き、シューベルト全集録音と並行して行われたこのブラームス、スウィトナーの心気充実ぶりを味わうために、仕様としても当セットが最上の選択肢だ。第1番での印象深い稠密度の高いオケの響き、名匠の虚飾を排した造型、柔和表現での馥郁たる香りに満ちた描写は全集に一貫するもので、全4曲、長く置いて幾度もじっくりと玩味したいと思わずにはいられない!
intoxicate (C)森山慶方
タワーレコード(vol.170(2024年6月20日発行号)掲載)